LABORATORY熱の実験室

元祖 [熱の実験室] 第38回 - トンネルの温度測定-久比岐自転車道

「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。

第38回(2020年8月10日)の実験
 前回、磁石が原因で温度測定できなかったので、8日後に再び、線路跡を利用した「久比岐自転車道」のトンネル内を、自転車で走行しながら温度測定するために出かけました。前日の予報では、糸魚川の最高気温32℃だったのが、当日朝の予報では35℃になっていました。糸魚川のアメダスは海岸から1kmほど内陸なので、海沿いはそれより涼しいはずですが。

 ● 自転車で温度測定するためのデータロガー

 データロガー本体は、前回までと変わらず、次の通りです。温度センサーとしてサーミスタ(温度で電気抵抗が変化する素子)を使用しているのは、第34回で説明した通り、データロガーに急な温度変化があっても、熱電対をセンサーとする場合より正確に温度測定できるためです。
  • コンピューター: Raspberry Pi Zero W
  • センサー入力: CDS(照度センサー) × 1 + サーミスタ(温度センサー) × 2
  • 測定: 照度、温度 (1秒間隔で測定し、2秒間隔で平均値を記録)
  • 電源: モバイルバッテリー
 前回、炭酸飲料のペットボトルの上部を切断したものをケースとしましたが、これを自転車のハンドルステムにひもで固定し、下側のモバイルバッテリー部分を、ブレーキ & シフトワイヤーに面ファスナーで巻き付けました。下からの水はねを防ぐため、筒状にしたポリ袋を粘着テープで固定し、走行時は結束して閉じます。
 照度センサーは、ペットボトル内の最上部、温度センサーは、クランク下側とペットボトルの外、高さが違う2か所に固定しました。
    

 ● 測定の内容

 自転車でスタートする前に、次の手順で測定を開始しました。
  • Pi Zeroの電源を、モバイルバッテリーのUSB端子に接続し、データロガーを起動する。
  • スマートフォンから、Pi ZeroのWi-Fiアクセスポイントに接続する。
  • Pi ZeroのWebサーバー(Apache)に、スマートフォンのWebブラウザで接続し、データロガーのメニューを開く。Pi Zeroは、インターネットに接続しないと時刻を取得できないので、スマートフォンの時刻と同期する。
  • 測定の画面から、スタートをクリックして測定を開始。
  • 運転確認・グラフの画面で、正常に測定できていることを確認したら、スマートフォンのWi-FiをOFFにする(Pi ZeroとWi-Fi接続されたままだと、インターネットに接続できないため)。
  • iOSのアプリ「MyTracks」を使用して、GPS情報を15秒間隔で記録開始。

 ● 走行したルート

 前回とほとんど同じですが、暑さを考えて、折り返し地点を手前にしています。
 一番左(西)、糸魚川市の、姫川沿いの公園がスタート & ゴールです。ここは、前々回のテスト走行で折り返し地点とした姫川温泉から、車で20分ちょっとですが、危険なトンネルと洞門のため、自転車の走行は危険です。一番右(東)、久比岐自転車道の上越市側出入口で折り返しています。往路は、ほぼ海沿いで、国道8号より海側に道があれば通っています。復路は、久比岐自転車道がある区間はだいたい通っていて、トンネルは全部通りました。

地理院地図にGPSデータを読み込んで作成
 標高も、前回と大きく変わりません。距離は、GPSで記録したデータでは83.6kmで、前回より10.7km短くなっています。実際は、15秒間隔の測定でカーブがショートカットされているので、数百mほど長いはずです。