LABORATORY熱の実験室

元祖 [熱の実験室] 第37回 - トンネルの温度測定-磁石に弱かった

「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。

第37回(2020年8月2日)の実験
 新潟県が梅雨明けした初日、線路跡を利用した「久比岐自転車道」のトンネル内を、自転車で走行しながら温度測定するために出かけました。天気予報では、最高気温28℃と暑さもほどほどで、良好な条件のはずでした。
 ところが、Pi ZeroのWi-Fiアクセスポイントがスマートフォンから見えず、測定をスタートすることができませんでした。あとで確認すると、磁石が原因でした。
 今回は、GPSとカメラだけで、糸魚川と直江津の間を走行確認するだけになってしまいました。

 ● 自転車で温度測定するためのデータロガーを改善


写真1 ペットボトルに入れた
 前回、第36回の実験では、Raspberry Pi を使用したデータロガーで問題なく温度測定できましたが、かぶせたポリ袋は、長時間の摩擦で穴があきました。そこで、ポリ袋の代わりに、炭酸飲料のペットボトルの上部を切断したものを使うことにしました。下からの水はねを防ぐため、筒状にしたポリ袋を粘着テープで固定し、使用時は結束して閉じます。これだと、前回のポリ袋よりはるかにしっかりしていて、不安なスレる音も小さいはずです。
 データロガー本体は前回と変わらず、次の通りです。
  • コンピューター: Raspberry Pi Zero W
  • センサー入力: CDS(照度センサー) × 1 + サーミスタ(温度センサー) × 2
  • 測定: 照度、温度 (1秒間隔で測定し、2秒間隔で平均値を記録)
  • 電源: モバイルバッテリー

 ● これが測定できなかった原因

 ペットボトルとデータロガー本体を自転車に固定するために、ハードディスクを壊して取り出した、ネオジム磁石を使用しました。 この磁石は強力で、ものを固定したりするのに便利です。
 片側の磁石は、データロガー本体(Pi Zeroの基板から30mm以上離れています)に両面テープで貼り、その上を面ファスナーで巻いています。もうひとつの磁石をペットボトルの外から磁力で固定し、これを自転車にひもでしばり付けると着脱も簡単です。

写真2 磁石が2つ

写真3 磁力で2つの磁石を固定
 温度測定時は、2つの磁石が磁力で固定されている、写真3の状態になります。
 測定を開始するため、Pi Zeroの電源をモバイルバッテリーのUSB端子に接続し、起動を待ってスマートフォンからPi ZeroのWi-Fiアクセスポイントを確認しましたが、表示されません。起動に失敗したのかと、USB端子から電源を抜いて強制OFFして、再度やっても同じです。更に、Micro SDカードを入れ直したり、周りの電波状態の影響を考えて場所を移動したり、いろいろやっても変化ないので、あきらめてデータロガーを自転車から外しました。
 走行中、磁石の影響があったのでは? スマートフォンを再起動してみたら良かったか? など考えていました。

 ● 磁石とWi-Fiアクセスポイントの確認結果

 帰宅してから、まず写真3のかたちのまま、Wi-Fiアクセスポイントが別に存在する状態でPi Zeroを起動しました。そうすると、正常にネットワークに接続されました。
 次に、Wi-Fiアクセスポイントの電波が届かない場所で、Pi Zeroを起動しました。この場合は、Pi ZeroがWi-Fiアクセスポイントになって、スマートフォンなどから接続できるはずなのが、起動後に短時間Pi ZeroのWi-Fiアクセスポイントが表示され、接続の間もなく消えてしまいます。何度やっても同じ状態になります。
 その次に、片方の磁石を外した写真2のかたちで同様にやってみると、Pi ZeroのWi-Fiアクセスポイントが表示されて接続できました。本体に貼った磁石は、Pi Zeroの反対側に磁力が向いていますが、自転車に固定する磁石は、磁力がPi Zeroに向かっています。2つの磁石の間に面ファスナーとペットボトルがあり数mm離れていることも、磁力が漏れる原因と思います。
 Pi Zero側に向いていない磁石なら問題ないことが確認されましたが、これには懲りたので、磁石を使わずに固定するようにします。