熱の実験室-新館
第45回 熱電対の直列接続 part 2
5ブロックの実験メンバーが交代で担当します
実験実施: 2018年5月、 実験担当: 第1ブロック
熱電対を直列接続したらどうなる?
熱電対を直列接続してデータロガーに接続したら、その時に何℃を表示するのか? 過去にこんな実験をやっていました。
今回は、この過去の実験をもとに、実際に熱起電力を測定して考察をしてみました。
まずは、2本直列接続で実験しました。
○使用したもの
- Kタイプ熱電対(被覆熱電対、シース熱電対)
- ホットプレート(ホットプレートDEMO 型番:HHP3315)
- ビーカーと氷水
- データロガー
- マルチメーター(横河計測 型式:756201)
○実験の方法

図1. 接続図(熱電対2本直列接続)
図1の様に接続しました。
低温側測温接点aを氷水の入ったビーカー、高温側測温接点bをホットプレート表面に取り付けました。そして、2本の熱電対を極性がプラス-マイナスが交互になるように直列につなぎ、データロガーと接続しました。この時のデータロガーの表示温度fを記録しました。また、この時の直列回路の熱起電力をマルチメーターにて測定し、その熱起電力を温度換算して(この温度をgとします)、データロガーの表示温度と比較しました。低温側測温接点a、高温側測温接点bおよび測温接点(気温)cをそれぞれ別の熱電対を使用して温度を記録しました。
また、同じ接続条件で高温側測温接点bの温度を変化させて実験を行いました。
以下、表1の接続条件で実験を行います。
○結果
測定温度は表2のようになりました。
表2.測定結果(熱電対2本直列接続)
接続条件 |
|
|
|
測定温度 [℃] |
データロガー
表示温度f [℃] |
熱起電力から
算出した温度g [℃] |
f - g 差
[℃] |
|
a |
b |
c |
d |
(1) |
0.35 |
50.60 |
25.60 |
30.00 |
25.80 |
27.40 |
1.1 |
(2) |
0.35 |
98.65 |
26.50 |
30.50 |
74.80 |
75.30 |
0.5 |
ここで、図2の熱起電力は表3のようになりました。
表3. 測定結果(熱電対2本直列接続―熱起電力)
接続条件 |
熱起電力[μV] |
|
E1 |
E2 |
E |
E’ |
(1) |
-1046 |
897 |
-149 |
-106 |
(2) |
-1065 |
2921 |
1856 |
1847 |
|

図2. 回路図(熱電対2本直列接続) |
表3より、
E1と
E2の合計である
Eと
E'は僅かな差はあるものの、傾向として、熱電対の直列接続では回路全体の熱起電力は、各測温接点における熱起電力の合計値となることがわかりました。
接続条件(1)について、
基準接点補償分の熱起電力
Edは、表2の
dの温度より熱起電力換算して求めます。
Ed = 1203[µV]
ここで、図2の回路における
E'と
Edの合計(
Egとします)を温度換算したものが表2の
温度gになります。
Eg = E'+ Ed = 1097[µV]
接続条件(2)についても同様に算出しました。