LABORATORY熱の実験室

熱の実験室-新館
第40回 熱電対の直列接続
5ブロックの実験メンバーが交代で担当します
実験実施: 2016年12月、 実験担当: 第1ブロック
 熱電対を直列接続したらどうなる?
 熱電対を直列接続してデータロガーに接続したら、その時に何℃を表示するのか? ってことで、やってみました。ちなみに、過去にはこんな実験がありました。 https://www.hakko.co.jp/expe/expe1301.htm
 じゃあ、3本直列につないだらどうなる?
 まずは、2本直列接続で実験しました。

  ○使用したもの

  • Kタイプ熱電対(被覆熱電対、シース熱電対)
  • ホットプレート(ホットプレートDEMO 型番:HHP3135)
  • ビーカーと氷水
  • データロガー

  ○実験の方法

 上図の様に接続しました。
 低温側測温接点aを氷水の入ったビーカー、高温側測温接点bをホットプレート表面に取り付けました。そして、2本の熱電対を極性がプラス-マイナスが交互になるように直列につなぎ、データロガーと接続しました。この時のデータロガーの表示温度を記録します。低温側測温接点a、高温側測温接点bおよび基準接点(冷接点)cをそれぞれ別の熱電対を使用して温度を記録しました。
 また、同じ接続条件で高温側測温接点bの温度を変化させて実験を行いました。
 以下の接続条件で実験を行います。
表1.接続条件(熱電対2本直列接続)
測温接点a(低温) 測温接点b(高温) 基準接点(冷接点)c d
(1) 氷水(0℃) ホットプレート表面(50℃設定) 雰囲気 雰囲気
(2) 氷水(0℃) ホットプレート表面(100℃設定) 雰囲気 雰囲気
 ちなみに、熱起電力と温度の変換は、 https://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/s04010.htm を使用します。

  ○結果

 測定温度は表2.のようになりました。
表2.測定結果(熱電対2本直列接続)
接続条件 測定温度 [℃] データロガー
表示温度f [℃]
熱起電力から
算出した表示温度g [℃]
f - g 差
[℃]
a b c d
(1) 0.55 49.85 24.55 24.55 28.65 26.39 2.26
(2) 0.30 94.10 24.40 24.40 74.10 70.88 3.22
 基準接点cの温度は、近傍の雰囲気温度dを測定し、便宜上、基準接点cと雰囲気dの温度は同じとしました。

 接続条件(1)について熱起電力から表示温度を算出する。
 まず、測定温度a、b、c、dについてそれぞれ熱起電力に変換します。
a … 21.70 [μV]
b … 2017 [μV]
c、d … 982 [μV]
 各回路の熱起電力を求めると、
E1 = a - c = 21.70 - 982 = -960.3 [μV]
E2 = b - c = 2017 - 982 = 1035[μV]
  これより、
熱起電力E = E1 + E2 = (-960.3) + 1035 = 74.7 [μV]
  これに基準接点温度分の熱起電力を嵩上げすると、
74.7 + 982 = 1056.7 [μV]
 この結果、熱起電力から算出した表示温度は26.39 [℃]となりました。
 接続条件(2)についても同様に算出しました。

 測定結果について、測定温度を熱起電力に換算するだけではなく、測定温度を加算減算して表示温度を求めてみました。

表3.計算結果(熱電対2本直列接続)
接続条件 データロガー
表示温度f [℃]
測定温度から
算出した表示温度h [℃]
f - h 差[℃]
(1) 28.65 25.85 2.80
(2) 74.10 70.00 4.10
 接続条件(1)についての計算方法は以下の通りです。
a - c = 0.55 - 24.55 = -24.00 [℃] … (A)
b - c = 49.85 - 24.55 = 25.30 [℃] … (B)
(A) + (B) + c = (-24.00) + 25.30 + 24.55 = 25.85 [℃]
  接続条件(2) についても同様に算出しました。

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