LABORATORY熱の実験室

 

  実験No.5

 電力密度が同じだと、ラバーヒーターよりもスペースヒーターの温度の立ち上がりが緩やかで時間もかかりましたが、次にスペースヒーターの標準電力密度である3.0W/cm2にあげるとポップコーンはどうなるでしょうか(a)。
 通電開始後30秒で100℃に到達。
 50秒後バターが溶け、ぐつぐつと音を立てています。
 1分経過後、208℃。
 2分経過後、375℃
 3分 経過後、487℃
 4分 経過後、565℃。一つ目のコーンが弾けました。電力密度を上げたことで、ヒーター表面温度が上昇し、コーンが弾け始める時間が短くなりました(b)。
 連続してコーンが弾け、フィルムがパンパンに膨らんでいます。
4分40秒で通電を終えました。ヒーター表面585℃。通電を止めても余熱で、まだコーンが弾けています(c)。
 この実験でもポップコーンがうまく調理でき、とてもおいしく頂きました。
 しかし、底の方には余熱で焦げてしまったコーンが多くありました。スペースヒーターの場合は、多少時間を要しますが、温度調節するなどの加熱方法の改善が必要かもしれません。

  まとめ

 実験No.1、2のラバーヒーターでは、加熱時間が30分以上かかったうえに、普通に食べられるレベルのポップコーンが少なく、ポップコーンの調理は失敗に終わりました。次々に弾けるコーンを見ているとわくわくした気持ちになるものですが、このふたつのヒーターではそのような気分を味わうことはできませんでした。
しかし、ラバーヒーターの電力密度を1.5W/cm2にあげ、ヒーターと容器をしっかり密着できるように改良することで、ガスで調理した場合と同じくらいの加熱時間でポップコーンができました。ラバーヒーターでも十分ポップコーンができるということが確認できました。
 上のグラフは通電時間と測定したヒーター表面温度の関係です。グラフ内の線はそれぞれのヒーターで試験した時のポップコーンが弾け始めた時間とヒーターの温度を示しています。同じ電力密度の場合、ラバーヒーターの方が早くコーンが弾け始め、スペースヒーターはそれよりも4分近く遅い結果となりました。さらに、電力密度を倍にしたスペースヒーターでは、立ち上がりの温度はラバーヒーターよりも高いですが、1分40秒ほど遅くコーンが弾け始めました。スペースヒーターは厚みがあり、ラバーヒーターよりも熱容量が大きいと考えられるため、同じ電力密度だと温度の立ち上がりが緩やかで、加熱時間が長くなったと考えられます。また、ポップコーンの容器の底は写真のように全体的に凹になっているため、ラバーヒーターの方がそれに追従し密着性が高まり、効果的に熱が容器に伝わったのではないかと考えられます。