LABORATORY熱の実験室

 ● 水を蒸発させる

 沸騰させて蒸発させるのではなく、低い温度でゆっくり蒸発させることにします。
 厚めのポリ袋を4枚用意して、重量を電子天びんで測定しました。内1枚は比較用です。この中にA~Cの水を各1リットル入れて、水分を蒸発させた後に重量を測定し、差を測定すれば、成分量がわかるはずです。
 まず、60℃に温度コントロールしたシリコーンラバーヒーターの上にポリ袋を置いて、水温を上げて蒸発させました。この方法で、容積が1/4位までにはなりましたが、水面がポリ袋の底の方になってしまうと、水蒸気がポリ袋の上の方で冷却されるために、ポリ袋内面に水となって付着し、下に流れて戻ってしまいます。そのため、ほとんど減らなくなってしまいました。
 そこで、全体の温度を上げるために、右の写真のように、60℃に保った恒温槽内に移しました。なお、四角い箱は、ポリ袋が立っているようにするためのものです。
 水が減ってくると、溶解できなくなった成分が析出してきますが、なぜか、地下水だけに目立ちました。水中に、白い固形物が浮遊している状態です。
 更に水が減って、固形物だけが残る状態になっても、Bの温湯温泉だけは、なかなか水分が抜けません。塩化ナトリウムが多いので、粗塩のような状態です。時間をかけても、Bだけは乾いてなく、少し湿気った状態でした。ここまでに7日かかりました。もっとも、塩田で海水から塩を作るには、30日以上もかかるそうです。

● 固形物の状態

 水分の蒸発が完了した状態を、ポリ袋のまま見たのが、次の写真です。
A: いつくしみの湯

 ポリ袋への付着は少なめで、割とさらさらしている。
B:温湯温泉の湯

 少し湿気った状態。
C: 地下水

 ポリ袋にくっ付いた状態。

 ● 重量を測定した

 実験後の各ポリ袋の重量を、電子天びんで測定しました。なお。比較用ポリ袋は加熱せずに、そのまま室内に保管してありました。
  実験前の空袋 実験後 しばらく置いた後
A: いつくしみの湯 13.77g 14.43g 14.97g
B: 温湯温泉の湯 13.83g 14.54g 14.79g
C: 地下水 13.88g 14.28g 14.40g
比較用ポリ袋(空) 13.79g 14.44g 14.21g
 すると、比較用ポリ袋の重量も全然違っているし、時間の経過で重量が変化してしまいます。A~Cのポリ袋は、加熱して乾燥していたのが、室内の水分によって重量が増えていくようだし、比較用ポリ袋は、保管していた部屋より電子天びんが置いてある部屋の湿度が低いために、乾いていくようです。
 ポリエチレンの吸水率は約0.1%なので、14gのポリ袋は、0.014gしか吸水で重量が増加しない計算になります。この程度なら、重量測定に支障ないはずなのですが、実際は違っていて、この方法で成分量が測定できないことは、とりあえずわかりました。なぜこんなに重量が違ってしまうのかわかりませんが、ポリ袋の表面積が大きいので、表面に吸着した水分量が多いのかもしれません。