LABORATORY熱の実験室


 ● 走行時の温度変化

 ポリタンクのお湯の使用方法として、次のように想定しました。
  1. ポリタンクにお湯(50~55℃くらい)を満タンに入れて、クルマに積む
  2. エンジンをかけて、12V100WのヒーターをONにし、海へと走る
  3. 海に着いたら、エンジンを止めるのでヒーターがOFFになる。
  4. 数時間後にポリタンクのお湯でシャワーを浴びる
 まず、海まで走るときを想定して、サーファー用ポリタンクは、12V100WのヒーターをONにして走行しました。比較用の普通のポリタンクはヒーターを使用していません。走行すれば、クルマの揺れなどでお湯がかき混ぜられて、室内に置いてあるときとは、湯温の変化が違うと思われます。
 本当は、海まで走れば良いのですが、ちょっと遠いので、少し違うけど湖まで行きました。聖湖は、標高970mほどのところにある、小さな湖です。この日の気温はマイナスで、雪がちらついていました。途中の姨捨展望台は、善光寺平が一望できる場所で、夜景がきれいなので有名です。今では、長野自動車道の姨捨インターからの景色の方が有名ですが、ここからも同様に千曲川に沿った地域が一望できます。
聖湖
姨捨展望台から

クリックするとパノラマ画像になります
温度変化は、次のグラフのようになりました。
 各ポリタンクの湯温は、底に近い部分(下)と、200mm上の部分(上)の2箇所測定しています。
 ポリタンクが倒れないように、右の写真のように樹脂コンテナに入れてありますが、2つのタンクは直接接触しないようにしてあります。
 サーファー用ポリタンクは、ヒーターが入っているので、お湯の温度は徐々に上がっています。普通のポリタンクは、ヒーターがないので、徐々に冷めています。なお、測定のはじめのところでは、特にポリタンク下側の温度が下がっていますが、エスハイの床が冷えているために、ポリタンクの底から樹脂コンテナを経由してエスハイの床に伝わる熱が多いためのようです。しばらくすると、安定してきます。
 普通のポリタンクが上側と下側の温度にあまり違いがなくて、安定しているのに対して、サーファー用ポリタンクは上側は安定していますが、下側は上側より大分温度が低くて、上下に変動しています。普通のポリタンクより凹凸がある形状が影響していると思いますが、はっきりした原因はわかりません。

 ● クルマを止めてからの温度測定

 次は海に着いて、サーフィンをしてシャワーを浴びるまでを想定した、温度変化測定です。このときクルマは止まっていて、エンジンも停止しているので、サーファー用ポリタンクのヒーターもOFFになっています。要するに、ただ置いてあるポリタンクの、湯温変化です。
 経過時間は前の続きで、海への走行を始めてからの時間を示してあります。ヒーターがないので、当然ですが時間の経過により温度が下がっています。サーファー用ポリタンクでは、走行時と同様に上側より下側の温度が大分低くなっています。
 お湯の温度を上側と下側の平均として、放熱(温度低下)は、気温とお湯の温度の差に比例しているとして、お湯の冷め方を計算すると、次のようになりました。
  サーファー用ポリタンク 普通のポリタンク
気温と湯温の差1℃あたりの
1時間の温度低下
0.07℃ 0.1℃
 例として、サーファー用ポリタンクのお湯が40℃で、気温が15℃なら、1時間後には、(40-15)×0.07 = 1.75[℃] 温度が下がって、お湯は38.25℃になる計算になります。
 サーファー用ポリタンクは、保温性のある袋とずんぐりした形状の効果で、普通のポリタンクより3割放熱が少なくなっています。なお、走行時はゆれ方にもよると思いますが、2割ほど放熱が多いようです。