LABORATORY熱の実験室


 ● 温泉配達用ヒーターセットの性能

 前のページの湯温測定結果について、No.1上側とNo2下側の平均値を湯温として近似してみると、1時間あたりの温度変化は次のようになりました。
時刻 ヒーター 1時間当たりの温度変化
13:10~14:10 ON +3.73℃
14:10~15:10 OFF -0.37℃
15:10~16:30 ON +4.16℃
 ところで、湯の量を210リットル(210kg)として、1.2kWのヒーターで加熱する計算をすると、タンクからの放熱がなくて、100%の熱が湯の温度上昇に使われるときに、1時間あたり4.92℃温度上昇することになります。1回目の13:10~14:10の温度上昇が小さいのは、タンクから、エスハイ荷室の床面に伝わる熱量が大きかったためと思われます。2回目の方が温度上昇が大きいのは、前のページのグラフにも現れています。
 色々と変化する要因はあるにしろ、温泉配達用ヒーターセットの加熱能力は、1時間あたり4℃と見て良いと思います。ローリータンクはプラスチックなので、断熱効果があって、割と冷めにくいようです。もちろん、冬になれば放熱が多くなって、加熱能力はもう少し低下するはずです。

 ● 温泉に入ってみた

 前回同様、20リットルポリタンク2個を使って、せっせと浴槽に運びました。なお、白いポリタンクに湯を移すと、少し青みがかって見えました。
 やはり、匂いは前回の坂城町温泉スタンドのときより弱くて、いかにも温泉、という雰囲気は少し薄いのですが、入るとやはり温泉です。これで無料なら、いつも温湯温泉スタンドが混んでいるのもわかります。でも、坂城町温泉スタンドも、成分表示で泉温が5.7℃高くて100円なので、経済性では決して負けていません。

 ● ローリータンク用ヒーターの別バージョン

 実は、温泉配達用のヒーターセットの他に、別バージョンのローリータンク用のヒーターがあります。
 
 投込みヒーターに、ローリータンクの上の穴に取り付けるための部品と、発熱部のカバーを付けたものです。 この現物は、三相200V 5kWですが、他の容量のものもあります。もちろん、エスハイの電源で使うことはできません。
 そして、ここで浮かび上がってくるのが、前回紹介した「半過観音いつくしみ(大慈)の湯」です。
 湯温(水温)が19℃だったので、1時間あたり4℃の加熱能力の温泉配達用ヒーターセットでは、入れるまでに6時間はかかる計算です。でも、三相200Vがあるところに行って、このヒーターで加熱してからなら、大幅に時間短縮できます。
 でも、一見湧き水のような「いつくしみの湯」、本当に大丈夫でしょうか? 湯温は上げても、入るのはちょっと躊躇してしまいそうです。もう少し調べてみてから、実施するかどうか決めたいと思います。