LABORATORY熱の実験室

 

 ● 運転してみた

■ 走り出す前

 エンジンスイッチをスタートにすると、一度はエンジンがかかりますが、必要なくなると、すぐに止まります。なお、走行可能表示灯というのがあって、[READY]という表示が点滅している間は走行できません。[READY]が点灯になると、ハイブリッドシステムが正常動作している、ということで走行可能になります。感覚としては、私が普段乗っているCITROENの、[STOP] という表示が点灯してピーピーいってる間は走行できないのと同じですが、CITROENは、サスペンション+ブレーキ+パワーステアリングを駆動するための油圧が上昇するのを待つという、工作機械的でわかりやすいけど、エスハイは何を待っているのか良くわかりません。-20℃を下回るような場合は、数分[READY]の点滅が続くことがある、という記載が取説にありますが、今の時期では、長く待つようなことはありません。

■ バックしたら

 エンジンが止まった状態でバックすると、モーターだけで動いていきました。無音というわけではありませんが、ヌーッと動くのは馴れないと異様な感じです。前進を始めると、間もなくエンジンが始動しました。

■ 一般道

 加速は、車重が重いために、ちょっとダルイ感じです。もっと加速したければ、アクセルを踏み込めば良いのですが、燃費が良いのが取り柄のエスハイでは、自然にためらってしまいます。特に、「燃費」モニターを表示していると、加速しているときに「瞬間燃費」が大きく落ち込むので、更に気が引けます。なお、リンクの写真の「燃費」モニターは、平地の一般道を走ったときのものですが、信号で頻繁に停止するために、加速した区間は下がり、減速している区間は上昇しています。
 エスハイのアクセルは、エンジンのスロットルバルブに直接つながっているわけではありません。エンジンとモーターの分担を変化させたり、モーターを発電機として電池に充電したり、ということを混合させて制御し、結果として、ガソリンエンジン車のアクセルと比較しても違和感がないようにしています。実際、運転しても、アクセル踏み込みと加速度の間での違和感は、感じられませんでした。
 車内はかなり静かです。そのため、エアコンが動いていると、エンジンが止まった/動いた というのも、注意していないとわかりません。「エネルギーモニター」を表示していれば目ではわかりますが。CVT(無段変速機)なので、変速ショックもありません。
 全般的な運転した感じとして、自然で違和感はありません。今まで、トヨタのセダンタイプの車を運転すると、足が地に付かないような感じ、なじめない感じがあったのですが、ミニバンタイプの方が、しっかり感があるのかもしれません。

■ 山道

 登り坂を速く走れる感じはありません。それでも、曲がりくねった山道では、カーブ前のアクセルOFFがあるので、直線でモーターの補助も働くようです。直線の長い登りだと、車重が重い割にパワーのない車になってしまって、苦しいかもしれません。「燃費」モニターの表示は、当然ですが低くなります。
 下りになると、快適に走ることができるようになります。燃料を消費しないだけでなく、回生ブレーキで充電できるので、更に快適に感じられます。カーブでの動きも割としっかりしています。
 エスハイは、アクセルと同様にブレーキも、直接ブレーキパッドの動きと機械的に結びついているわけではありません。普通の「ディスクブレーキ」と、モーターを発電機として、タイヤの回転で発電して電池に充電する「回生ブレーキ」を混合して制御し、違和感のない減速ができるようにしています。アクセル同様、普通に踏んで違和感がありません。スイッチとしてのブレーキペダルなら、ストロークはもっと小さくても良いように感じますが、一般の車からの乗換えでは、今の設定が適当でしょう。
 「回生ブレーキ」は、発電して電池に充電するので、架線に電気を戻せる電車と違って、使える量に制限があります。下りだけが続くと、電池が満充電になってしまって、回生できなくなるはずです。これを計算してみました。

 エスハイの重量は、乗員他含め、2000kg とします。
 電池の容量は、前の計算で、470W・3時間でしたので、470×3×3,600 = 5,076,000[J]

 実際には、電池は下り始めるときに空ではなく、半分以上の充電量があるはずです。発電の方も、車にかかる重力から全て発電に回るわけではなく、走行抵抗、発電機の効率により低下します。これらを無視して、単純に上の重量と電池容量から計算してみます。

 高度1m下ると得るエネルギー: 2000[kg]×9.8[m/s2] ×1[m] = 19,600[J]

 1m下ると、19,600[J] のエネルギーを得ます。空の電池を満充電にするためには、5,076,000 / 19,600 = 259 で、259m下ると、これ以上回生できない計算になります。実際は先に書いたように空ではないので、ずっと短くなるはずです。そこで、下りでAC100Vの電源を使うと、もっと長く回生できるでしょうか?

 5%の坂を、時速50km = 13.9m/s で下るとします。1秒で0.694m高度が下がりますので、得るエネルギーは、19,600[J/m]×0.694[m/s] = 13,602[W]。AC100V電源で1500W使っても、1/9しか消費していない計算ですが、走行抵抗、発電効率から、実際には13,602[W] の何割かの回生になることを考えれば、ある程度効果が見られると思います。

 次に、平地ではどうでしょうか? 時速100km = 27.8m/s で走っていて、止まるまで全部回生すると、(1/2)×2000×27.82 = 772,840[J] 。こちらは、一応余裕のようです。

■ AC100Vを使ってみた

 初めて使ったのは、デジカメの充電です。1500W使える電源には役不足ですが、消費電力が小さい機器でも、DC12Vから充電できるようなアダプターは普通持っていないので、AC100Vが使えるのは便利です。なお、メインスイッチがあることを忘れてプラグを差し込んだので、あれ? 電気が来ていない という状態になりました。すぐにわかりましたが。
 なお、コンセントは少し凹んだ位置にあるので、ACアダプターなどはそのまま使えません。写真のように延長コードが必要です。