LABORATORY熱の実験室

 ● 80℃で実験

 次は、温度80℃、湿度95%の恒温恒湿槽に入れました。また、腐食量を数値で見るために、試験前後の金属板の質量も測定しました。
24時間後 液体
塩カル3% 塩カル30% 海水
 海水は茶色の沈殿物があり、液体自体も変色しています。塩カル3%は茶色の、塩カル30%は薄茶色の沈殿物がありますが、液体自体は透明です。

24時間後 鉄(取り出した状態)
塩カル3% 塩カル30% 海水
 液中は、黒い付着物があります。塩カル30%も付着物はあったのですが、付着力が弱く、液外に出すときに流れてしまいました。

48時間後 鉄(洗浄後)
塩カル3% 塩カル30% 海水
 それぞれの状態に違いはありますが、目視での上下の判定は難しいです。
 腐食度合い: 塩カル30% = 海水 = 塩カル3%

48時間後 アルミ
塩カル3% 塩カル30% 海水
 液中の変色は海水が一番大きく、次が塩カル3%で、塩カル30%はわずかな変色です。液面部は、40℃のときと同様、海水はOKですが、塩カルは腐食で削られています。
 腐食度合い: 塩カル3% > 塩カル30% > 海水

48時間後 ステンレス
塩カル3% 塩カル30% 海水
  光の影響で、写真では良くわかりませんが、全体としては腐食はありません。ただし、塩カル30%の液面には、小さな孔状の腐食が多くありました。高濃度のため、強固な付着物がこの部分に生じたための、局部腐食のようです。
 腐食度合い: 塩カル30% > 塩カル3% = 海水

金属板の質量変化
金属 液体 (a)試験前
質量 [ g ]
(b)24時間試験後
質量 [ g ]
(b-a)試験後-試験前
質量の差 [ g ]
海水 23.37 23.34 -0.03
塩カル3% 22.95 22.93 -0.02
塩カル30% 23.19 23.16 -0.03
アルミ 海水 12.46 12.47 +0.01
塩カル3% 12.46 12.46 0
塩カル30% 12.41 12.40 -0.01
ステンレス 海水 22.06 22.05 -0.01
塩カル3% 22.03 22.02 -0.01
塩カル30% 22.12 22.11 -0.01
 わずかな質量変化なので、これだけで判断はできませんが、次のことが言えます。
・鉄: 海水と塩カル3%が同程度の腐食で、塩カル30%はこれより少ない。
・アルミ: 海水は変色(アルミとの化合物皮膜)で質量増加、塩カル30%は腐食で質量減少。

 ● まとめ

 今回の実験の結果から、次のことがわかりました。
鉄: 海水も塩カルもNG、良く錆びる。
アルミ: 塩カルの方が、危ないようだ。
ステンレス: まあOKだが、塩カルが強固な付着物にならないように注意。
 実際のクルマは防錆処理されており、今回の実験結果とどのように相関しているか? わかりませんが、まあ塩カルを放置しているなら、海水もあまり気にしなくて大丈夫ではないか? と思います。ブレーキローター周りなど、鉄が露出している部分は、どちらも腐食が加速されるはずですが。
 塩カルが散布される以前の古いクルマの場合は、どっちも危ないと思います。