LABORATORY熱の実験室

熱の実験室-新館
第60回 煮物の下処理って本当に必要?~色んな味わいの煮物を作ろう~
レッド・イエロー・ピンク 3チームが担当
実験実施: 2023年11月、 実験担当: チームピンク

1. はじめに

(ある日の社員の会話)
社員A「今日の夕飯煮物にしようと思うんだけどさ、下茹でがちょっと手間なんだよね。」
社員B「うち電子レンジで済ませちゃうよ!時短時短。」
社員C「煮物めったに作らないけど、やっぱそういう下処理って必要?適当に煮て終わらせてる」
社員A・B・C(「…思ったよりみんな作り方違うな。みんなの作る『煮物』気になるかも!」)


一般的に下茹でなどの下処理は、煮物の味を染み込みやすくしたり、大根特有の苦み等を和らげる効果があると言われています。
今回の熱の実験室では煮物づくりにおける下処理の必要性に加え、熱のかけ方による仕上がりの違いについて検証しました。

2. 用意したもの

2-1. 実験器具

  • なべ
  • 包丁
  • まな板
  • おたま
  • 大さじ/小さじ
  • ガスコンロ
  • 計量カップ
  • ヤマト科学製 精密恒温機
  • 冷蔵庫/冷凍庫
  • 電子レンジ

2-2. 実験に使用した材料

  • 大根 (実験では3cm角に切ったものを使用)
  • 醤油
  • みりん
  • 砂糖
  • 顆粒だし

3. 実験

3-1.実験方法

調理手順を①~③のステップに分け、それぞれのステップの中で様々なパターンに沿って調理を進 めました。
(図1)調理終了後は試食を行い、各条件ごとに採点を行いました。
調理ステップと採点基準は次項参照。
※下処理による変化を比較しやすくするために②と③それぞれの調理時間は統一しました。

3-2.調理ステップ

①下処理(5パターン)・・・煮物の味を左右すると言われる下処理。
下処理には様々な方法が存在しますが、下処理の王道「下茹で」、時短の「電子レンジ」を加え、細胞壁が壊れた方がよく味が染みるのでは?と思い、「冷凍」を追加しました。
また変わり種として「温風加熱」も加え、「下処理なし」を含む計5パターンの方法で下処理を行いました。
② 煮汁と一緒に煮込む(2パターン)
煮崩れ防止のためコトコトと弱火で煮るのが一般的ですが、沸騰して煮込んだ場合どうなるのか検証するため、「沸騰」・「弱火」の2パターンの方法で 煮込みました。

a. 煮込時沸騰
 →鍋に大根と煮汁を入れて沸騰させた後、火加減はそのまま15分 間煮込みました。
b. 煮込時弱火
 →鍋に大根と煮汁を入れて沸騰させた後、火加減を弱火に落とし て15分間煮込みました。

③ 冷却(2パターン)
煮物は「冷める時に味が染みる」と言われていますが、冷却方法により味が変わるのかどうか検証するため、「急冷」と、「徐冷」の2パターンの方法で冷却しました。

Ⅰ. 急冷
 →火を止めた後、容器に大根と煮汁を移して1時間冷蔵庫に放置しました。
Ⅱ. 徐冷
 →火を止めた後、鍋ごと1時間室温に放置しました。
   
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