LABORATORY熱の実験室

 

◎結果

試験結果を以下に示します。

図7.測定グラフ(ヒーター温調無し)

表1 通電開始から30分後の各測定温度(ヒーター温調無し:ヒーター表面温度630℃)
ハイレックス
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(ハイレックス熱電対測定時)[℃]
汎用
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(汎用熱電対測定時)[℃]
72.4 20.9 52.6 20.9



図8.測定グラフ(ヒーター表面温度:550℃温調)

表2 通電開始から30分後の各測定温度(ヒーター表面温度:550℃温調)
ハイレックス
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(ハイレックス熱電対測定時)[℃]
汎用
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(汎用熱電対測定時)[℃]
54.1 20.2 42.4 22.1



図9.測定グラフ(ヒーター表面温度:500℃温調)

表3 通電開始から30分後の各測定温度(ヒーター表面温度:500℃温調)
ハイレックス
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(ハイレックス熱電対測定時)[℃]
汎用
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(汎用熱電対測定時)[℃]
50.1 21.5 38.1 21.9



図10.測定グラフ(ヒーター表面温度:400℃温調)

表4 通電開始から30分後の各測定温度(ヒーター表面温度:400℃温調)
ハイレックス
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(ハイレックス熱電対測定時)[℃]
汎用
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(汎用熱電対測定時)[℃]
35.3 20.8 26.3 18.7



図11.測定グラフ(ヒーター表面温度:300℃温調)

表5 通電開始から30分後の各測定温度(ヒーター表面温度:300℃温調)
ハイレックス
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(ハイレックス熱電対測定時)[℃]
汎用
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(汎用熱電対測定時)[℃]
31.0 21.9 23.9 20.5



図12.測定グラフ(ヒーター表面温度:200℃温調)

表6 通電開始から30分後の各測定温度(ヒーター表面温度:200℃温調)
ハイレックス
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(ハイレックス熱電対測定時)[℃]
汎用
熱電対温度[℃]
雰囲気温度
(汎用熱電対測定時)[℃]
23.7 20.1 21.8 20.3


 測定結果より、各ヒーター表面温度における、通電開始から30分後のハイレックス熱電対、汎用熱電対における測定結果は以下となりました。

表7 通電開始から30分後の測定温度
ヒーター
表面温度
[℃]
ハイレックス
熱電対温度
[℃]
雰囲気温度
[℃]
ハイレックス
熱電対と
雰囲気温度の差
Δt[℃]
汎用熱電対
温度
[℃]
雰囲気温度
[℃]
汎用熱電対と
雰囲気温度の差
Δt[℃]
630(温調無し) 72.4 20.9 51.5 52.6 20.9 31.7
550 54.1 20.2 33.9 42.4 22.1 20.3
500 50.1 21.5 28.6 38.1 21.9 16.2
400 35.3 20.8 14.5 26.3 18.7 7.6
300 31 21.9 9.1 23.9 20.5 3.4
200 23.7 20.1 3.6 21.8 20.3 1.5

 熱電対が受けるエネルギーの内、放射エネルギーの受熱と放熱が平衡状態であると仮定し、どのくらいの放射エネルギーを受熱しているのか算出してみます。
 放熱は対流熱損失と放射熱損失にて算出します(当社Q&Aキットを参照してください)。

図13.Q&Aキット画像(当社ホームページより抜粋)
 対流熱伝達率10.0[W/m2K]、ハイレックス熱電対の表面放射率0.85、放熱/受熱面はφ3.2×200mmのシース表面積と仮定し、下表に示します。
表8 通電開始から30分後のハイレックス熱電対受熱量
ヒーター表面温度
[℃]
ハイレックス熱電対測定温度
[℃]
雰囲気温度
[℃]
放熱量(=受熱量)
[W]
630(温調無し) 72.4 20.9 1.71
550 54.1 20.2 1.08
500 50.1 21.5 0.91
400 35.3 20.8 0.45
300 31.0 21.9 0.28
200 23.7 20.1 0.11
 ハイレックス熱電対の表面放射率は0.85と仮定しましたが、汎用熱電対の表面放射率はいくつになるでしょうか。当社所有の熱流体解析ソフトにて汎用熱電対の表面放射率を推測してみます。

図14.熱流体解析モデル
 解析する手順は以下です。
  1. ハイレックス熱電対における熱流体解析(定常状態)を実施。
    ハイレックス熱電対の表面放射率を0.85と定義し、表7の測定温度と近似値となるように熱伝達率を変更パラメーターとし、熱伝達率を推測。
  2. 汎用熱電対における熱流体解析(定常状態)を実施。
    ハイレックス熱電対の熱流体解析にて推測した熱伝達率となるように条件設定し、、表7の測定温度と近似値となるように表面放射率を変更パラメーターとし、表面放射率を推測。
 解析結果を下表に示します。
表9 定常状態におけるハイレックス熱電対(放射率0.85)の熱流体解析結果
ヒーター表面温度
[℃]
ハイレックス熱電対
測定温度
[℃]
熱流体解析による
定常状態の温度
[℃]
熱流体解析による
定常時の熱伝達率
[W/m2・K]
630(温調無し) 72.4 72.3 8.82
550 54.1 54.0 8.58
500 50.1 50.1 8.02
400 35.3 35.3 8.49
300 31.0 30.9 6.07
200 23.7 23.8 7.52

表10 定常状態における汎用熱電対の熱流体解析結果
ヒーター表面温度
[℃]
実測定温度
[℃]
熱流体解析による
定常状態の温度
[℃]
熱流体解析による
定常時の熱伝達率
[W/m2・K]
熱流体解析による
放射率
630 52.6 52.4 8.86 0.45
550 42.4 42.3 8.61 0.43
500 38.1 38.1 8.13 0.43
400 26.3 26.3 8.64 0.25
300 23.9 23.9 5.85 0.20
200 21.8 21.7 7.89 0.30

 熱流体解析による結果では、汎用熱電対の放射率は0.200.45となりました。