LABORATORY熱の実験室

○ 追加実験


写真2 実験の様子(蓋あり、断熱材あり)
 ペール缶A、Bそれぞれに蓋+断熱材を追加して、追加実験を行いました。

○ 追加実験の結果

(1) 「蓋あり、断熱材あり」の条件でそれぞれのヒーターでの昇温特性の違いを比較しました。
  • ここでもやはり投込みヒーターの方が早く水を温められる結果となった。
  • 「蓋なし、断熱材なし」と比較して、到達温度までの時間が短くなった。投込みヒーターは、110分過ぎから温調が始まった。水温安定時の通電OFFの時間が長くなった。
  • 投込みヒーターは目的の温度まで直線的に昇温しているのに対して、缶用ラバーヒーターは緩い昇温カーブを描いている事から、温度調節器による温調動作に早い段階で入ったと推測される。
  • 缶用ラバーヒーターは、昇温ピークが「蓋なし、断熱材なし」と比べて6℃くらい高くなったが、グラフは昇温傾向を示しているので、もう少し昇温の経過を観察していれば、もっと温度差が縮まったと推測される。
(2) 投込みヒーターで「蓋なし、断熱材なし」と「蓋あり、断熱材あり」の昇温特性を比較しました。
  • 「蓋あり、断熱材あり」は「蓋なし、断熱材なし」と比較して、温調動作に入るまでの昇温時間が30分くらい早く到達した。
  • 「蓋あり、断熱材あり」と「蓋なし、断熱材なし」の通電時間を比較した時に、「蓋あり、断熱材あり」の一回のON/OFFサイクルは1,530秒でON時間は195秒であった。「蓋なし、断熱材なし」の条件で任意の1,530秒区間を切り取った時に通算ON時間は970秒であった。それぞれを1kWh=27円としたら、「蓋あり、断熱材あり」は約1円、「蓋なし、断熱材なし」は約5円となり、5倍もの差が出た。蓋と断熱材を使用する事により、昇温後の温度安定時の電気料金が1/5になると言う結果になった。
  • 昇温速度、通電コストを考えると、「蓋あり、断熱材あり」が優位である事がわかった。
(3) 缶用ラバーヒーターで「蓋なし、断熱材なし」と「蓋あり、断熱材あり」の昇温特性を比較しました。
  • 300分での温度が「蓋あり、断熱材あり」と「蓋なし、断熱材なし」を比べてたら6℃くらい高くなった。それぞれグラフは昇温傾向を示しているので、もう少し昇温の経過を観察していれば、昇温ピークは高くなったと思われる。

○ 追加実験のまとめ

 グラフより、蓋は昇温速度、断熱材は安定時の省エネ効果に影響がありました。これは当たり前と言えば当たり前の話ですが、物体表面からの熱損失を抑えた結果です。
 これは「液体表面からの熱損失 > 金属表面からの熱損失 > 断熱材表面からの熱損失」と言う関係性があるので、液体表面からの熱損失を抑えるために蓋をすると、昇温速度に影響を及ぼす結果となりました。

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