LABORATORY熱の実験室

  • アルミ板表面温度:170℃~200℃
     アルミ板にアクリルを押し付けるとくっつき、溶けたアクリルがアルミ板に付着しました。アクリルの表面は凸凹になっています。

図7 アルミ板に付着したアクリル

図8 200℃のアルミ板に押し付けたアクリル
 アルミ板にアクリルを押し付けるとアクリルが付着してしまい、表面はつるつるになりませんでした。アクリルが付着しないように非粘着の表面処理をしたアルミ板金を用意し、その上で加熱試験を続けました。
  • アルミ板金表面温度:200℃~220℃
     アルミ板金にアクリルを押し付けても、アクリルは付着しませんでした。数秒の加熱で切断時の大きな凸凹はなくなりましたが、アクリル板金の細かい凸凹が転写されてしまい、つるつるにはなりませんでした。アクリル表面近傍の内部には気泡が発生しています。
  • アルミ板金表面温度:220℃~250℃
     アルミ板金にアクリルを押し付けると、アクリルがアルミ板金に付着しました。アクリル表面には溶けたアクリルが糸状に出ています。

図9 220℃のアルミ板金に押し付けたアクリル

図10 アルミ板金に付着したアクリル


図11 250℃のアルミ板金に押し付けたアクリル
 以上の結果より、アクリルを熱板に押し付けて、表面を溶かすことで光沢仕上げをすることはできませんでした。非粘着の表面処理をしたプレートを使用し、220℃未満の適切な温度のプレートで押し付けることで、仕上げ加工前の粗研磨の代わりにはなるかもしれませんが、表面粗さが小さいプレートを用意する必要がありそうです。

2-4. 熱板による非接触加熱

 次に、熱板2を使用してアクリルを非接触加熱(放射による加熱)しました。アクリルを熱板から数mm離したところに設置し、加熱をしました。今回はガスバーナーでの仕上げを参考に、#600のサンドペーパーを使用して切断後の凸凹を除去してから加熱を行いました。
図12 #600のサンドペーパーで仕上げたアクリル
  • 熱板表面温度600℃で非接触加熱
     1分以上の加熱をすると曇りがなくなり、2.2で研磨したアクリルよりも透明になりましたが、表面近傍に気泡が発生しました。
  • 熱板表面温度650℃で非接触加熱
    600℃での加熱に比べ、短時間で透明になり、気泡の発生は若干少なくなりました。

図13 600℃で非接触加熱をしたアクリル

図14 600℃で非接触加熱をしたアクリル
 以上の結果より、表面温度600℃以上の熱板による非接触加熱により、アクリルを透明化することはできましたが、アクリルに気泡が発生してしまいました。これはアクリル表面が溶けてつるつるにすることに時間を要してしまい、アクリルの内部まで高温になってしまったことに起因するものではないかと考えています。今回は最高で650℃の熱板で非接触加熱をしましたが、より高温で短時間に熱処理をすることで気泡の発生を防ぐことができるかもしれません。

2-5. 熱風による非接触加熱

 最後に参考として熱板ではなく、工業用ドライヤーを使用して約450℃の熱風でアクリルの加熱を行いました。
 角は大きく丸みがついてしまいましたが、気泡を発生させずに表面を透明化することができました。

図15 熱風で加熱をしたアクリル

3. まとめ

 200℃~220℃に加熱をした、非粘着の表面処理をした板金にアクリルを押し付けて、接触加熱をすることで切断時の凸凹を除去することはできましたが、板金の微小な凸凹は転写されてしまいました。600℃以上の熱板を使用した非接触加熱では、アクリルを透明化することはできましたが、気泡が発生してしまいました。熱板による加熱では、アクリルの光沢加工は難しそうです。

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