LABORATORY熱の実験室

 

3. 実験結果

 まず、サーモグラフィーで測定したプレートの温度分布を見てみましょう。

180 ℃に熱したプレートの温度分布
 この画像を見ると、やはりプレートの端はプレート中心部と比べ、温度が急激に下がっていることがわかります。しかし、放射温度計で測定した中心の温度と熱電対周辺の温度を比較すると、あまり差がないことがわかります。
 さらに放射温度計の測定している範囲について考えていきましょう。もし測定している部分に温度差があったら正確に温度を測ることができなくなってしまいます。

 測定範囲のことを考えるにあたって、ここで放射温度計の視野角のお話をします。視野角とは放射温度計が測定できる範囲を決める大切な角度です。
 今回の実験で使った放射温度計の視野角は60°であり、また一番高い測定場所は30 mmでした。ここから測定範囲を計算すると、放射温度計を中心とした直径約100 mmの円の内部が測定範囲ということになります。
 それを踏まえてもう一度画像を見てみると、測定範囲内部は温度が均一であることがわかります(プレートは500 mm角)。したがって、プレートの温度分布が結果に及ぼす影響は少ないと言えそうです。

※ちなみに、一般的な放射温度計はレンズを使って集光しているため、ピンポイントな場所の温度を測定することができます。しかし、赤外線を集光するレンズはとても高価です。今回はより安価な放射温度計を作ることが目的であるため、使用しませんでした。

 次に各温度のそれぞれの高さにおける放射温度計、熱電対の温度を見てみましょう。また熱電対の温度を実際のプレートの温度だと仮定して、放射温度計と実際の温度の差がどれくらいなのかも出してみました。
50℃ 100℃ 150℃ 200℃
高さ
(mm)
a
熱電対
(℃)
b
放射温度計
(℃)
b-a
(℃)
a
熱電対
(℃)
b
放射温度計
(℃)
b-a
(℃)
a
熱電対
(℃)
b
放射温度計
(℃)
b-a
(℃)
a
熱電対
(℃)
b
放射温度計
(℃)
b-a
(℃)
5 50 52 2 100 105 5 151 167 16 180 194 14
10 50 54 4 100 104 4 152 163 11 180 194 14
15 49 52 3 100 101 1 150 158 8 180 194 14
20 48 51 3 100 101 1 150 157 7 180 193 13
25 48 51 3 100 100 0 150 157 7 181 190 9
30 49 51 2 100 100 0 150 157 7 180 190 10
 表を見てみると、放射温度計の温度はどれも実際の温度よりも高くなっていることがわかります。

 さらに、表の結果をグラフにまとめてみましょう。

 グラフを見ると、放射温度計までの距離が近いほど実際の温度との差が大きく、遠いほど小さいことがわかります。つまり、放射温度計がプレートから遠いほど正確に温度を測っているということになります。なぜ、このような結果になったのでしょう?