LABORATORY熱の実験室

 
熱の実験室-新館
第46回 温度制御のできる放射温度計づくりに挑む!
5ブロックの実験メンバーが交代で担当します
実験実施: 2018年10月、 実験担当: 第3ブロック

1. はじめに

 放射温度計は、耳で測定する体温計やサーモグラフィーなど、私たちの普段よく目にするものに応用されている温度計です。そんな便利な放射温度計を使って、新製品のヒートローラーの温度制御しようと考えていました。しかし、温度制御機能付きのものの値段を見て、びっくり・・・。とてもお高いのです(何十万円!!)。
 そこで安価な放射温度計とマイコンを使って、温度制御のできる「お手頃価格な放射温度計づくり」に挑戦しました。

サーモグラフィーで撮影した手

※ヒートローラー
 回転式の加熱装置で、用途は熱転写など様々。
 今注目の新製品です。

2. 実験

2-1. 用意するもの

  • ハイレックスプレートヒーター(200 V 約1390 W 500 mm×500 mm :試作)
  • サーモグラフィー(Thermal Imagers:FLUKE)
  • 温度コントローラー(プレートヒーターの温調用)
  • 被覆熱電対 Kタイプ
  • パソコン
  • 自作の放射温度計
  • ハイトゲージ
  • 板金

2-2. 実験方法

放射温度計の製作
 マイコンボード「Arduino Nano」と放射温度計「MLX90614センサーモジュール」を基板に取り付け、マイコンとパソコンをUSBケーブルで繋ぎます。(材料費:2,000円以下)



実際に配線した基板
 放射温度計から送られてくる電圧データを温度に換算して、ディスプレイに表示するプログラムを組み込み、放射温度計が測定したリアルタイムの温度がパソコンの画面に表示されるようにしました。

パソコン画面に表示される温度(毎秒更新)
測定方法
(1) ハイトゲージに板金と自作の放射温度計を取り付けます。 (2) プレートに温度制御のための熱電対を取りつけます。
(3) プレートと放射温度計をくっつけ、その高さを0 mmとします。その高さを基準に放射温度計の高さを合わせます。
(4) プレートを温めます。
(5) 放射温度計が測定した温度と熱電対が測定した温度を比較します。
 今回の実験ではプレートの温度を50、100、150、180 ℃に設定し、各温度での放射温度計の高さ5、10、15、20、25、30 mmの場合の温度測定を行いました。

※ ちなみに作った放射温度計を最終的にヒートローラーへ取り付ける際に、発熱部との距離が約30 mm以内の位置に取り付けることを想定しているため、上記のような条件で実験を行いました。