LABORATORY熱の実験室

 

 3. 実験結果

実験(1)
 塩カルを溶かした水を蒸発させ、回収した析出物と新品の塩カルを氷の上に載せて、冷蔵庫の中に保管し、氷の状態を観察した。しばらくすると、析出物と新品の塩カル共氷が溶けていた。冷蔵庫に保管してから8時間後に容器を取り出し、状態を確認した結果、析出物を撒いた氷の方が多く溶けている様に見えた(写真3、4)。

写真3.(新品の塩カルを撒いた氷)

写真4.(析出物を撒いた氷)
実験(2)
 表1、2に、雪の上に塩カルを詰めた袋を置いた経過状況をまとめた。
 時間の経過とともに、徐々に雪は解けていき、実験開始119時間後には完全に溶けて水になった。トレイの中に残っていた水を自然乾燥させたら、水分が蒸発し結晶が析出した。(写真5)
表1

実験開始5時間後 コンテナ

実験開始23時間後 コンテナ

実験開始47時間後 コンテナ

実験開始119時間後 コンテナ
表2

実験開始5時間後 トレイ

実験開始23時間後 トレイ

実験開始47時間後 トレイ

実験開始119時間後 トレイ
 

写真5.(自然乾燥後のトレイ)

 4. まとめ

 今回行った実験で、塩カルを溶かした水を加熱して、水分を蒸発させて得られた析出物が、新品の塩カルと同様の効果を得られたことから、水に溶けた塩カルを再生できることが確認できました。再生した塩カルを撒いた氷の方が多く溶けていたのは、新品の塩カルは粒状で、再生した塩カルは粉状であったため、氷との接触する表面積が大きかったことが起因していると考えられます。一方で、今回実験に使用した素材の袋では、雪と塩カルを反応させることはできましたが、トレイなどの容器が無ければ溶け出した塩カルを含んだ水を回収することはできませんでした。今後は、色々な種類の袋で実験を行い、雪や氷と反応して溶け出した塩カルを回収出来る素材の袋を選定し、乾燥させることで繰り返し使用可能な『塩カルシート』を製作したいと思います。

  • 1
  • 2