熱の実験室-新館
第18回 測定物とシース熱電対のスリーブまでの適正な距離
5ブロックの実験メンバーが交代で担当します
実験実施: 2011年3月、 実験担当: 第2ブロック
1.はじめに
物体の温度を制御するためには、物体の温度を知る必要がある。そのため、電熱製品は測温抵抗体や熱電対などの温度検知工具と共に使用する。その際、測温抵抗体、熱電対の中間接続部(以後、スリーブと称する)には使用温度範囲が規定されているため、スリーブが熱くなりすぎないように測定物と適正な距離を離す必要がある。
今回は、加熱したブロックに対し、横向きに熱電対を挿入したときのスリーブ表面の温度を測定し、スリーブ表面温度と加熱ブロックの温度、シース径の関係について調べた。また、熱解析ソフトを用いて解析を行い、結果と比較した。そして測定物とシース熱電対のスリーブまでの適正な距離について検討した。 |
2. 実験
2-1 実験手順
加熱ブロック (SUS304)をカートリッジヒーター(200 V, 675 W) 4本用いて加熱する。サンプルシース熱電対(φ3.2, 2.3,
1.6, 1.0)を各1本、測定用熱電対をスリーブに貼りつけ加熱ブロックに挿入した。
加熱ブロックの温度を100 ℃、300 ℃、500 ℃、700 ℃とし、シース熱電対のスリーブまでの距離Lを20 mm、50 mm、80 mm、100
mm、150 mmとしたときのスリーブ温度を測定した。 |

図1 実験装置概略。 |
2.2 実験結果
測定用熱電対で測定した温度と室温の差(スリーブ上昇温度)を表1、図2、図3に示した。図の曲線はプロット点を滑らかに結んだものである。スリーブ上昇温度は加熱ブロックの温度が高い時は加熱ブロックの温度に対して比例して増加し、加熱ブロックの温度が低い時は、緩やかに増加した。また、シース径が小さくなる、またはスリーブまでの距離が長いほどスリーブ上昇温度が低くなった。 |
表1 スリーブ上昇温度測定データ
(a) シース径φ 3.2 mm |
|
距離L mm |
20.0 |
50.0 |
80.0 |
100.0 |
150.0 |
ブロック温度 ℃ |
100.0 |
6.1 |
1.1 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
300.0 |
23.8 |
5.2 |
1.3 |
0.6 |
0.1 |
500.0 |
49.3 |
13.9 |
4.1 |
2.6 |
0.6 |
700.0 |
81.3 |
29.1 |
9.9 |
6.8 |
1.9 |
|
(b) シース径φ 2.3 mm |
|
距離L mm |
20.0 |
50.0 |
80.0 |
100.0 |
150.0 |
ブロック温度 ℃ |
100.0 |
2.8 |
0.4 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
300.0 |
12.8 |
3.0 |
1.0 |
0.6 |
0.1 |
500.0 |
31.3 |
10.1 |
3.9 |
2.8 |
0.8 |
700.0 |
60.6 |
24.8 |
10.1 |
7.7 |
2.7 |
|
(c) シース径φ 1.6 mm |
|
距離L mm |
20.0 |
50.0 |
80.0 |
100.0 |
150.0 |
ブロック温度 ℃ |
100.0 |
1.5 |
0.3 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
300.0 |
8.1 |
2.1 |
0.8 |
0.7 |
0.1 |
500.0 |
22.4 |
8.1 |
3.3 |
2.4 |
0.8 |
700.0 |
46.7 |
21.1 |
9.3 |
7.2 |
2.2 |
|
(d) シース径φ 1.0 mm |
|
距離L mm |
20.0 |
50.0 |
80.0 |
100.0 |
150.0 |
ブロック温度 ℃ |
100.0 |
0.8 |
0.2 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
300.0 |
5.1 |
1.9 |
0.6 |
0.5 |
0.0 |
500.0 |
16.8 |
7.4 |
2.5 |
1.8 |
0.4 |
700.0 |
38.2 |
19.9 |
7.7 |
5.6 |
1.4 |
|
|