LABORATORY熱の実験室


 ● (2)樹脂バケツで試験

 続いて、樹脂バケツで試験です。バケツはポリエチレン製で、耐熱温度が100℃となっています。


金属バケツと同じように温度を測定します。

 沸騰するまでの傾向はほとんど同じでした。

 3.5時間を過ぎたあたりで、ヒーター表面が露出しました。この状態ではまだ温度はあまり上がりません。
 まだ少し水がありますが、ヒーター表面はほぼ完全に露出し、温度が上がって赤くなってきました。
 丸い部分が発熱部ですが、赤くなっていないところもあります。バケツ用ヒーターには、発熱部がバケツに接触しないように足が付いています。足はまだ水に漬かっているので、そこは放熱が大きく他の部分と比べて温度が低くなっています。
 水が完全に無くなり、全体が赤くなっています。
 足の部分からバケツが溶け始めました。
 数分後、ポッという音とともに、足が接触している部分から火がつきました。
 すぐに別の足からも火がつきました。
 バケツは底面から燃焼を続け、火炎が徐々に大きくなりバケツよりも高く上がっています。黒い煙がもくもくと上がってきました。プラスチックの燃える匂いで息が詰まりそうです。
 今回は試験ですので、ベニヤ板の下は耐火煉瓦で覆って火事にならないようにしてありますが、それでもこの燃え方を見ると恐怖を感じます。

 本当はバケツが燃え尽きるまで試験しようと思っていたのですが、匂いと黒煙がひどくなってきて、本当の火事と間違われるといけないので、電源を切って火を消して試験を終えました。
 このまま試験を続ければ、確実にベニヤ板まで燃えていたことでしょう。そして、ベニヤ板でなくフローリングの上だったら・・・。考えるだけで恐ろしくなります。

 ● まとめ

 金属バケツは、樹脂バケツと比べるとかなり安全が高い

 もちろん金属バケツを使えば絶対に火事にならないということではありません。条件や、周りの可燃物によっては着火する可能性も十分にあります。何かの拍子にバケツが転倒すればなおさらです。

 最も有効な手段は、金属バケツを不燃性の床の上で使うことと、回りに可燃物を置かないことですが、それ以外の場所で使いたい場合には空焼き防止機能付ヒーターを使うことをお勧めします。空焼き防止機能付きヒーターは、空焼きすると温度ヒューズが切れて通電を停止しますので、安全性が高まります。

 また、温調付バケツ用ヒーターを使用して水が沸騰しないように温調するだけでも、多くの事故を防ぐことができると思います。
担当: 原