LABORATORY熱の実験室

 

 ● 実験結果

 実験の結果を以下に示します。
1リットルビーカーの場合

図. 湯せん実験(内容器:ビーカー)

 パターン1とパターン2の場合で、内容器内の液温の温度上昇に違いが大きく見られました。お湯から湯せんしたほうが、水から湯せんした場合の約3/4の時間で最高温度(約70℃)まで上昇していることが分かります。最初、内容器(ビーカー)を入れた際、パターン2の湯せん器液温(お湯の温度)が下がっていますが、すぐに上昇しています。
 これは、ビーカーを入れたことにより、お湯の熱量が奪われましたが、ビーカーが小さかったため、それほど多くの熱量を奪われなかったためと考えられます。

18リットル一斗缶の場合

図. 湯せん実験(内容器:一斗缶)

 この場合もお湯から湯せんしたほうが早く昇温していますが、その時間は水から湯せんした場合の約4/5で、ビーカーの場合よりも遅い結果となりました。最初、内容器(一斗缶)を入れた際、パターン2の湯せん器液温(お湯の温度)が下がっています。一斗缶の場合は、容器が大きいため奪われた熱量も多く、なかなか内容器の液温は上昇しませんでした。

 ● まとめ

 今回の結果より、お湯から湯せんをしたほうが、水から湯せんするよりも早く昇温するということが分かりました。しかし効率の面では、お湯から温めたほうが良いと言えるでしょうか。最初に使用するお湯を温める時間を考えると、お湯を温めるのに約30分かかります。
 ここで、一斗缶の場合の試験結果中パターン2の測定結果を、水をお湯にする時間を考慮して30分遅らせてみると以下のようになりました。

図. パターン1-パターン2(効率比較)

 図より、パターン1とパターン2のグラフはほぼ重なりました。よって最初にお湯を温める分の効率を考えると、パターン1とパターン2では熱効率はほとんど変わらないという結果になります。
 以上より、「お湯から湯せんすると確かに早く内容器を温めることができるが、効率の面から言うとほとんど変わらない」、ということが言えます。最初にお湯を沸かすのではなく、余ったお湯を使用しての湯せんであれば、効率も良いと言えるでしょう。
担当: 東海

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