LABORATORY熱の実験室

元祖 [熱の実験室] 第33回 - Raspberry Piを使ったデータロガーで、猛暑の測定

「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。

第33回(2018年8月)の実験
 熱電対センサーによる温度測定、温度制御、写真撮影をするデータロガー(兼、温度調節器)を、Raspberry Piを使用して作りました。
 このデータロガーを使用して、猛暑の屋外で温度測定をしてみました。アメダスの気温測定は、地上から1.5mで行なわれていますが、熱い地面に近い低い位置では、もっと高い温度になっていて、子供やペットは大人より暑い、ということがあります。これは実際どうなのか? 実験してみました。

 ● データロガーの仕様

  • センサー入力: 熱電対 × 12点
  • 記録: 温度、duty比(温度制御時の出力割合)、画像
  • 温度制御: 熱電対No.1の測定値により、+5Vの電圧出力。SSRで負荷駆動。
  • カメラ: Piカメラモジュール(Raspberry Piの端子に接続する専用カメラ)
  • UPS: リチウムイオン電池で停電保護。電池容量が10%を下回ったら運転停止し、Raspberry Piシャットダウン。
 右の写真は、実験現場に置いたデータロガーです。アクリル板に測定用の基板を取り付け、もう1枚のアクリル板を固定した上に、Raspberry Pi、リチウムイオン電池を取り付けています。左の斜め上を向いているのがカメラです。
 LANがない環境でも使用できるよう、登録したWi-Fiアクセスポイントがある場合はそこに接続し、ない場合は、Raspberry PiがWi-Fiアクセスポイントになって、スマートフォンなどから接続できるようにしました。
 データロガーの操作は、Raspberry PiのWebサーバー(Apache)に、Wi-Fiで接続したスマートフォンなどから、Webブラウザで接続して行います。Raspberry Piは、インターネットに接続できないと時刻を取得できないので、接続したスマートフォンなどから、時刻を取得するようにしています。
 今回は、屋外の電源もWi-Fiもない場所での実験なので、はじめから電池でRaspberry Piを動作させます。起動したら、Raspberry PiのWi-Fiアクセスポイントに、スマートフォンで接続して操作します。

 ● 実験の構成

 ステンレスパイプを、アスファルトの地面に三脚で立て、地上から1.5m, 0.7m, 0.3m の3つの高さに熱電対を取り付けました。
 データロガーの温度記録周期を10秒、写真撮影周期を10分とし、温度制御は当然使用しないので、設定温度0℃にしました。
 データロガーは段ボール箱に載せ、直射日光で高温にならないよう、カメラのじゃまになる部分に穴をあけた段ボール箱をかぶせました。Raspberry Piの使用温度は70℃までなので、動作はOKのはずですが、直射日光で温度の上下が激しいと、測定用の基板の温度が不均一になり、熱電対での測定値に悪影響が出るはずです。
 熱電対は、φ0.2のフッ素樹脂被覆熱電対(Kタイプ)を、3対使用しました。感熱部に日光が直接当たらないよう、左の写真のように、紙を筒状に巻いてカバーしました。感熱部は中心付近にあり、周りの物体に触れません。上下方向はオープンなので通気できます。
 なお、実験途中で全体が強風で吹き飛んでしまい、復旧後、地上から1.5mの高さの熱電対は、地面(アスファルト)の温度測定になってしまいました。

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