LABORATORY熱の実験室

 

 ● 動作しないで加熱

 まず、加熱して正常動作しなくなり、70℃まで冷却すると正常に戻った2台を加熱しました。設定温度180℃で、本体の温度は次のように150℃を少し超えています。
 2台とも、この加熱で正常動作しなくなり、壊れました。
 次に、まだ実験していないハードディスクを、同様に加熱しました。冷却してからHDDケースに接続すると、動作は正常です。そこで、ヒーターの温度コントロールをしないで再度加熱しました。本体の温度が高くなると、煙が出て悪臭がしてきたので、30分程度で加熱をやめました。ハードディスクには、表示などに金属箔シールが多く使用されており、このアクリル系粘着材が熱分解したようです。
 これで完全に壊れているだろうと、冷却後に動作を確認しました。ところが正常に認識し、"fc" でのファイル比較も始まりましたが、2ファイル目まで正常に表示した後に認識しなくなり、完全に動作を止めました。

 ● 解体してみた

 白い樹脂部品に、熱変形した部分がありましたが、破壊しているような部分はありませんでした。

 ● まとめ

  • 温度上昇には弱いはずのハードディスクですが、本体が120℃くらいでも正常動作してしまうのは驚きです。
  • 本体を180℃以上まで加熱した後でも、短時間動いたことから、磁気ディスクのデータは消えていないと思います。先にモーターやヘッドの動く部分または、制御回路が動作しなくなっています。更に温度を上げると、基板のはんだも溶融してしまうはずです。
  • 磁気ディスクのデータが消えるまで温度を上げると、樹脂の熱分解があるので、排気処理が必要になりそうです。
  • 今回実験した世代のハードディスクは、使っていて壊れるときに、異常動作してから、ある程度のバックアップをとる余裕がありましたが、容量密度が大きくなるにつれて、突然死するようになっていると感じます。加熱試験でも、違った結果が出るのではないかと思います。