LABORATORY熱の実験室

 

元祖 [熱の実験室] 第9回 - 放射冷却の測定

「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。

  第9回(2002年1月)の実験-2回目

 寒い時期の晴れた朝、屋外の駐車場に置いた車のガラスが、霜で凍りついていることがあります。ところが、すぐ近くの、簡単な屋根だけの駐車場でも凍りつきませんし、屋根がなくても、大きな建物に面した側は凍らなかったりします。どこに置いた車も、まわりの空気の温度は同じはずですが、車の温度は違うようです。

 これは、放射冷却によるものと知られていますが、実際に、どの程度温度が下がるのか測定してみました。



 ● 実験場所

株式会社八光電機 工場敷地内 (長野県千曲市)

・緯度: 36.28度  ・経度: 138.10度  ・標高: 377m

 ● 温度測定日時

2002年1月18日 16時 ~ 2002年1月21日 9時

 測定開始から、1月20日の夕方までは晴れていて、その後曇りになり、実験終了直後に雨が降り始めました。

 ● 実験に使用した器具

■ 温度測定する物体

 □40mm×100mmの寸法のアルミ製ブロックを4つ用意し、2つは光沢表面のまま、残る2つは黒色のつや消し塗装をしました。ここにシース熱電対を挿入して温度測定します。

 このブロックを、厚さ10mmのアルミ板の上に、断熱材(発砲スチロール)を介して固定しました。2つのブロックについては、厚さ12mmの合板で屋根を作り、これを上にかぶせました。

■ シース熱電対(温度センサー)

 シース径φ1.6の、Kタイプ熱電対(HT-20型)

■ データレコーダー

 熱電対からの電圧をデジタル変換して、ノートパソコンに取り込むものを使用しました。

 ● 実験の方法

 建物などの影響が少ないように、温度測定する物体を、水平になるように屋根の上に置きました。次の箇所の温度を測定しました。
  • [外アルミ]: 光沢のあるアルミ製ブロック
  • [外黒]: 黒色つや消し塗装したアルミ製ブロック
  • [屋根アルミ]: 屋根の下-光沢のあるアルミ製ブロック
  • [屋根黒]: 屋根の下-黒色つや消し塗装したアルミ製ブロック
  • [気温: 軒下の日が当たらない場所
  • [地中]: 約200mmの深さの地中