● ヒーターの表面温度について 空気中で空焼き通電されているヒーターからは、2つの形態で、熱が外に伝達されていると考えられます。 (1) 自然対流による放熱 放熱量[W] = h [W/m2・℃] x 放熱面積 [m2] x 温度差 [℃] という関係になります。低温で発熱させたヒーターの温度測定結果から、h は10 [W/m2・℃] 前後になりました。 (2) 熱放射による放熱 放射熱量[W] = ε:放射率 x σ:ステファン・ボルツマン定数 x 絶対温度 4 ε:放射率は、完全黒体(入射する全てのエネルギーを吸収する)の場合に1で、0の場合は、全てのエネルギーを反射します。一般 に物体はこの中間で灰色体です。 σ:ステファン・ボルツマン定数 = 5.67 x 10-8 [W/m2・K4] 実際には、ヒーターだけから電磁波が発生しているのではなく、周りの低温の物体からも発生しています。高温の物体(T1K)から低温の物体(T0K)への熱伝達を、両者の放射率を同じとして計算すると... 伝熱量[W] = εx σ x 放熱面積 [m2] x (T14 - T04) 自然対流/放射の、2つの形態の放熱を考えて、発熱量と表面温度の関係を計算します。 面積当りの放熱量[W/m2] = ( h x (T1-T0) ) + (εx σ x (T14 - T04) ) h = 10 [W/m2・℃] T0 = 293.16 K ( = 20℃) として、ε:放射率が1~0.7のときを計算すると、下のグラフになります。 ![]() 今回のヒーターでは、限界に近い高温のときは不安定なため不明ですが、900℃以下では、放射率 0.8の線とほぼ同じでした。 ● 温度の限界について 温度の限界は、ヒーターの表面温度ではなく、シース内部の発熱線の温度によります。カートリッジヒーターに使用されている、ニッケル-クロム系発熱線の溶融温度は、約1400℃です。短時間で断線する高温は、発熱線の温度が1300℃~1400℃の間になっていると思われます。 |