LABORATORY熱の実験室


 ● 温泉編の結果について

 ・気圧が下がると沸点が下がる=標高が高くなると沸点が下がる(水の飽和蒸気圧)
 ・成分が溶解していると沸点が上がる(モル沸点上昇)
 この2点を考えれば済むと思って実験をはじめたところ、そんなに単純なものではありませんでした。
 気圧だけ考えると、実際の測定場所での正確な気圧はわかりませんが、峰の原高原:850hPa、戸倉町:965hPaとすると、水の飽和蒸気圧から換算して、峰の原高原:95.1℃、戸倉町:98.6℃になります。
 次に、モル沸点上昇を考えると、温泉水に溶けている成分の平均の分子量を10と小さく見ても、0.5g/kg=0.05mol/kgとなりますので、温度上昇は0.03℃になり、測定には現れないことになります。
 水という、最も身近な液体ですが、実際にはかなり特殊な性質を持っています。大きな蒸発熱、融解熱、比熱 水(液体)より氷(固体)の密度が小さい 4℃で最大密度になる などがあります。沸騰させた後の水は、0℃まで冷却しても凍らない(過冷却)という現象は、実験No.3の、冷蔵庫で冷却した後の性質が、実験No.2と違っているのと関係あるかもしれません。水には、磁気を使ったりなど、いろいろな処理がされる場合があって、その効果について、クラスターの状態が変化するなど言われていますが、笹屋ホテルからエスハイに積んで、峰の原高原まで往復した(活発に流動させた)水による実験No.2と、冷蔵庫で低温の静止状態にあった水による実験No.3では、成分としては同じでも、水の状態(クラスター)が異なっていたと思います。
 温泉の湯となると、更に不思議で良くわかりません。何せ、超臨界水(気体と液体の境界がない=蒸発熱がゼロ)の状態で、地中深くの物質を溶かし込んできたのが元かもしれませんから。純水より沸点が低くなるのは、一般的には低温蒸発成分の影響がありますが、温泉の湯の場合はそうでもないようです。活発に流動させた温泉の湯と、冷蔵庫で静止した温泉の湯は、どのようにか?わかりませんが、大きく状態が異なっていると思われます。まあ、実際の温泉では流動した状態が普通で、冷蔵庫には入れませんが。

 ● 海と山編の予告

 今回の温泉編は、良くわからない結果となりましたが、「温泉の湯」を「海水」に代えて、海と山編も実施する予定です。まず、新潟県内の、日本海沿いのある場所(行ってから、走りながら決めます)で海水を採取して、その場所で海水と純水の沸点を測定する実験をします。そのままエスハイで国道最高地点の渋峠(長野県-群馬県境)まで行って、同様に沸点測定の実験をします。実験に使用する機材、実験の方法は今回と同じです。
 測定する沸点は、次の4種類になります。
(1):海-純水 (2):海-海水 (3):山-純水 (4):山-海水
 海水は、温泉の湯のように難しいのでしょうか?