LABORATORY熱の実験室


 ● シリコーンラバーヒーターとは

 シリコーンラバーヒーターは、厚さが約1.5mmで、断面は右の図のようになっています。発熱線はシリコーンゴムに埋め込まれていて、その両側からガラスクロスで補強され、表面は薄いシリコーンゴムです。シリコーンゴムだけだと、引っ張れば伸びるし、強くありませんが、このような構造なので強いし、引っ張って簡単に伸びるようなものではありません。身近なものでは、タイヤのサイドウォールのような感じです。
 発熱線は、金属シースのシーズヒーターに使用されているのと同じ、ニッケル-クロム合金線が使用されています。低温の保温や暖房用途で使用されている面状のヒーターだと、温度が上がると抵抗が大きくなってワット数が低下しますが、ニッケル-クロム合金線ではほとんど低下しません。実際、初めてシリコーンラバーヒーターを使うと、そのパワーに驚くと思います。同じ面状のヒーターでも、ホットカーペットのようなものとは全然違います。
 温度は、200℃で連続使用できて、短い時間なら250℃もOKです。用途に合わせて形状や寸法を指定できますし、標準在庫品もありますからすぐに使用できます。

 ● 製作

 まずは、メインのシリコーンラバーヒーターです。
  • 幅390×長さ380(写真の左右方向)
  • 定格: 100V 750W
  • 温度センサー: Kタイプ熱電対
  • 固定金具: 鳩目18箇所
 全周に固定用の鳩目を取り付けてありますので、実質のヒーター寸法は、幅360×長さ350で、ワット密度は標準の0.6W/cm2 になります。試験中の動作確認用に、表面に熱電対を貼り付けてあります。このヒーターを2枚使用して、100V 1500Wになりますが、2枚での重量は750gでした。

 前回製作した簡易キャリアには、2枚のヒーターを取り付けできて、エスハイの屋根に近付かないように、ステンレスパイプで三角形にフレームを追加しました。

 フレームに、スプリング22本とワイヤーを使用して、シリコーンラバーヒーターにテンションが加わるようにして取り付けました。

 上の写真で、下がエスハイの前側になるように取り付けます。風圧で力が加わる前側と上側はワイヤーで吊り、後ろ側と下側はスプリングで引っ張るようにしてあります。この全体での重量は、約2.5kgでした。小指で簡単に持てる、軽量の負荷抵抗器になりました。
 シリコーンラバーヒーターにテンションが加わっているものの、走行時の風速で、旗のようにバタつくのではないか、という懸念があります。長時間バタバタやっていると、鳩目取り付け部分などがこわれるかもしれません。