LABORATORY熱の実験室

今回の試験結果から分かったこと

1. 最大ワット数の計算結果より

 アルミ製のローラーは、ワークによって大きく違います。ローラーもワークもアルミの場合、ローラー表面とアルミシートの接触面が小さいため、熱の伝わる量は低くなります。結果をみると、試験4(シリコーンゴムシートとアルミ製ローラー)で伝わった熱量が試験2(アルミシートとアルミ製ローラー)の1.7倍でした。
 一方、ゴムライニング加工されたヒートローラーは、ローラー自体が変形して接触面積が増えるため、ワーク材に関係なく同じくらいの熱量を伝えることが分かりました。

2. 平均ワット数の試験結果より

 平均ワット数から、シリコーンゴムライニングの影響が見えてきました。伝わった熱量に関して、ゴムライニングされていない(2と4)ローラーは、ゴムライニングされたローラーより高くなりました。厚み3mmのシリコーンゴムがライニングされたことで、ローラーの径と放射熱量が増え、ローラーの表面温度が下がりました。表面温度が低くなったことで、ワークに伝わった熱量がゴムライニングされていないローラーより低くなります。結論としては、シリコーンゴムライニングのローラータイプは、密着性の改善ができましたが、表面温度が低下してしまうので伝わる熱量が減ります。

おわりに

 表の結果から、金属と非金属のワークに対して、ローラー種類による伝わる熱量の計算ができました。従って、樹脂やステンレス材など、他の様々なワークの比熱と質量が分かれば、そのワークをある温度まで温めるために必要な時間を推測できます。
 また、今回の試験では、ゴムライニングありとなしのそれぞれにメリットを示しました。密着性が良ければ、熱の伝わりも良くなります。従って、ゴム材や皮など、柔らかい素材に熱をかけたい場合は、ゴムライニングなしのヒートローラーが適当と思います。ワークが曲面の場合や多少凹凸がある場合、またはワークに傷をつけたくない場合なども、シリコーンゴムライニングが有効なため、ゴムライニングローラーを採用されるお客様のほうが多いです。