LABORATORY熱の実験室


氷の抵抗値
 では、氷はどうなのでしょうか。私は氷の結晶は水素結合なので、水より電気は流れにくいように思います。
 もし、氷が絶縁体であったら、北極などでは電化製品を氷で作ることができます。氷で電化製品ができれば、見た目がきれいな上、作るのが簡単で資源節約、ゴミも少ない、メリットいっぱいです。
 ある人は、「氷は水より熱伝導が良い=導電性が高いに違いない、氷を電線代わりに使い、完全犯罪に・・・(以下略)」
 名探偵○○○の世界です。それはそれで中々面白いと思います。

 ● 実験2 氷の導電率

 ということで氷の抵抗値も調べてみました。使用した水、容器は先程と同じです。電極を浸したまま冷凍庫で凍らせ、冷凍庫の中で抵抗値を調べました。
氷の様子
水道水
 水道水は中央が白くにごっています。水は外側から凍りますが、外側が凍るときに不純物は中に追いやられていき、最終的には氷の結晶と不純物の混ぜ物が中央にたまるため、白くにごります。水の中に溶けている空気も白い濁りを作る原因のようです。
純水
 不純物が少ない分、水道水に比べてかなり透明度は高いです。右側が白く見えますが、これは膨張によって氷が割れたためです。
スポーツ飲料
 スポーツ飲料は全体的に真っ白です。不純物が多すぎるため、氷の結晶が成長しないことと、凝固点降下のために周囲から凍っていかないため、シャーベット状になるのだと思われます。
結果
  抵抗値 氷の体積抵抗率 水の体積抵抗率
1. 水道水 4.2×107 Ω 2×107 Ω・cm 5×103 Ω・cm
2. 純水 9.5×108 Ω 4×108 Ω・cm 6×105 Ω・cm
3. スポーツ飲料 1.0×105 Ω 4×104 Ω・cm 4×103 Ω・cm
氷も半導体

 やっぱり氷も半導体、という結果になりました。水よりははるかに大きな抵抗値を示しておりますが、絶縁体というには少し抵抗値が低すぎます。残念ながら、絶縁体にも、導体にも使えそうにありません。

 面白かったのは、水のときはスポーツ飲料と水道水はあまり変わらなかったのに対して、氷になるとスポーツ飲料のほうが格段に抵抗値が低くなっています。
 スポーツ飲料は、冷蔵庫の中でも触ると少し湿っているような感じがしました。凝固点降下により固体中に液体が残るため、抵抗値が上がらない低いままなのではないでしょうか。
担当: 原

  • 1
  • 2