元祖 [熱の実験室] 第32回 - Raspberry PiとLANケーブルを使用した、熱電対温度測定

「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。

第32回(2017年8月)の実験
 熱電対をデータロガー(計測器)に接続して温度測定するとき、特に熱電対の本数が多くて長いと、配線作業が非常に大変です。また、長さが足りなくなったときに、熱電対素線または補償導線を伸ばすことは困難です。
 入手しやすく、比較的安価な電線としてLANケーブルがあります。これは、長さも自由で取り回ししやすく、接続もコネクターで簡単だし、中の線はツイストしてあって、ノイズ対策がされています。これを利用できれば、面倒な熱電対の配線が楽になるはずです。

 ● LANケーブルの使い方

 熱電対は、2本の金属線で回路を作り、接点に温度差を与えると電圧が発生する、というものです。詳細は、Q&Aキット - 熱電対の基本 を見てください。データロガーの端子台に接続したときは、測温接点と端子台の温度差による熱起電力が測定できますが、端子台の温度がわからないと測温接点の温度もわからないため、端子台付近の温度を、別の温度センサーで測定しています。
 上の図のように、Raspberry Piで熱電対の起電力を測定するときは、LANケーブルの先の、熱電対が接続されている部分(黒丸部分)の温度を測定すれば、測温接点の温度がわかることになります。今回の実験では、サーミスタを温度センサーとして使用しています。サーミスタは、温度により抵抗値が変化するセンサーですが、抵抗値変化が非常に大きいので、長いLANケーブルの抵抗値が加わっても、影響を無視できます。
 実際には、LANケーブルは8線あるので、サーミスタで2線使用した残りの6線で、3対の熱電対が接続できます。

 ● 実験の構成

 熱電対は、最も一般的に使用されているKタイプを、3対使用しました。
 右の写真で、黒いブレッドボードに熱電対の素線を挿しているので、ここと測温接点の間で発生した熱起電力を測定していることになります。この付近の温度をサーミスタで測定することで、測温接点の温度がわかります。
 LANケーブルを接続するコネクターは、延長用コネクターを分解して2つに分けて使用しました。LANケーブルを経由して、Raspberry Piに接続されているブレッドボードに入力されます。ブレッドボードには
  • ADコンバーター(ゲインアンプ内蔵、I2C接続)
  • 抵抗(サーミスタ回路分圧用)
  • 抵抗(熱電対ノイズ対策、断線検知用)
  • コンデンサー(熱電対ノイズ対策用)
という部品があり、Raspberry PiのGPIO(入出力端子)に接続しています。
 温度を測定するブログラムは
  • サーミスタの抵抗値を測定
  • サーミスタの温度を算出
  • サーミスタの温度に相当する熱起電力を算出 (a)
  • 熱電対の熱起電力を測定 (b)
  • (a) + (b) の熱起電力に相当する温度を算出。
という流れです。熱起電力の算出には、Q&Aキットの 熱電対の熱起電力 と同様に、「JIS C1602 熱電対」 中の、「規準熱起電力の補間式」を使用しています。この計算プログラムを変えることで、Kタイプ以外の熱電対でも温度測定することが可能です。

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