LABORATORY熱の実験室

2-2. 機器構成

 下記条件にて、水の加熱試験を行いました。ホットエアービームおよびホットエアービームと容器間の配管の予熱が完了した状態で実験を開始しています。
実験条件
 エアー温度: 500 ℃
 エアー圧力: 0.3 MPa
 エアー流量: 110 リットル/min
 サーモスタット動作温度: 75 ℃

図5 水温・出口エアー温度の時間経過



図6 昇温途中のフレキシブルチューブ

 今回の実験条件では、約1400秒で水温が75℃に到達しました。放熱ロスも考慮すると、およそ450Wの熱が水に伝熱したことになります。また、熱風の間欠動作により、水温を一定に保つことができました。
 図6のように、昇温中はエアーの上流側(入り口側)に気泡が発生し、徐々に気泡が少なくなっていきます。この様子から配管内の熱風が徐々に熱を奪われていることが分かります。また、水温と出口エアー温度に大きな差がないことから、容器内の配管を通じて、熱風と水で十分に熱交換が行われたことが分かります。

3. まとめ

 ホットエアービームによる熱風を容器内の配管に流すことで、容器内の水と熱風の熱交換により、水を加熱することができました。また、熱風の間欠運転により、水温を一定温度に保つこともできました。 今回のような熱交換による加熱方式は、ホットエアービームと容器間の配管における放熱、容器から外へ出る熱風による排熱があるため、容器に直接ヒーターを投入し加熱する方式と比べると熱効率では劣りますが、下記のようなメリットがあります。
  • 容器の洗浄などのメンテナンス時に電気配線を外さなくても済む
  • ・スケールの付着によるヒーターのローカルヒートなどのトラブルがない
    (ヒーター発熱部にスケールが付着すると熱伝導が悪くなり、局所的に高温になります。そのまま使用するとパイプの穴あきなどの故障の原因となります。)
  • 配管表面温度は管内部の流体の温度を超えることはなく、温度管理が容易
    (液体中にヒーターを直接投入する場合はヒーター表面温度の管理は困難)
  今回は、配管に熱風を通して実験を行いましたが、熱風ではなく温水を流しても同様に加熱が可能です。容器内の液体を加熱する際の選択肢として、熱交換式はいかがでしょうか。

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