最初に作製した熱電対は以下の通りです。今回はSUS316Lの材料を基準にしました。 |
材料A(+) |
材料B(-) |
チタン |
SUS316L |
ニクロム線 |
SUS316L |
クロメル線 |
SUS316L |
SUS316L |
アルメル線 |
はんだ |
SUS316L |
カーボン糸 |
SUS316L |
SUS304 |
SUS316L |
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※ |
材料A(+)は電圧計のHi側に接続し、材料B(-)は電圧計のLo側に接続します。 |
※ |
上の表でアルメル線の場合のみ+と-が入れ替わっていますが、これは起電力を+とするために入れ替えたためです。 |
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起電力の測定結果を以下に示します。 |

グラフ1. 起電力測定結果
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上のグラフよりSUS316Lとチタン・ニクロム線・クロメル線・アルメル線の組み合わせについては、良い相関が得られましたが、SUS316Lとはんだ・カーボン糸・SUS304についてはあまり良い相関が得られませんでした。これは、はんだ・カーボン糸・SUS304が、いずれもSUS316Lと同じような起電力特性を持つ材料であるためと考えられます。
よって、これらの材料については、SUS316Lとの組み合わせで最も起電力が高かったクロメル線を用いて、新たに熱電対を作製し起電力測定を行うことにしました。
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新たに作製した熱電対は以下の通りです。 |
材料A(+) |
材料B(-) |
クロメル線 |
はんだ |
クロメル線 |
カーボン糸 |
クロメル線 |
SUS304 |
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測定結果を以下に示します。 |

グラフ2. 起電力測定結果
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上のグラフのように、はんだ・カーボン糸・SUS304は同じような起電力となりました。
ここで、今回使用した材料のうち、ニクロム線・18-8ステンレス・クロメル線・アルメル線については、白金に対する起電力(100℃)が理科年表に載っています。その値から、各材料を使用して熱電対を製作した場合の起電力が容易に計算できます。
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計算方法 |
例えば、ニクロム線とSUS316Lの熱電対の起電力(計算値)は、 |
+1.14-(+0.44)=0.70 [mV] |
となります。その計算値と、実際に製作した熱電対で測定した起電力を見比べてみることにします。
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白金に対する起電力[mV](100℃) |
熱電対の起電力[mV](100℃) |
材料A(+) |
材料B(-) |
計算値 |
測定値 |
名称 |
値(a) |
名称 |
値(b) |
(a)-(b) |
ニクロム線 |
1.14 |
SUS316L |
0.44 |
0.70 |
0.63 |
クロメル線 |
2.81 |
SUS316L |
0.44 |
2.37 |
2.07 |
SUS316L |
0.44 |
アルメル線 |
-1.29 |
1.73 |
1.60 |
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上表のように、それぞれの測定値と計算値はそれほどかけ離れた値とはなりませんでした。
次に、白金に対する起電力(100℃)が理科年表に載っていないチタンとカーボン糸について、白金に対する起電力を測定値より計算してみたいと思います。
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白金に対する起電力[mV](100℃) |
熱電対の起電力[mV]
(100℃) |
材料A(+) |
材料B(-) |
名称 |
値(a) |
名称 |
値(b) |
測定値 |
チタン |
X |
SUS316L |
0.44 |
0.84 |
クロメル線 |
2.81 |
カーボン糸 |
Y |
2.21 |
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表より、チタンの白金に対する起電力を求める式は、X-(+0.44) = 0.84 となる。
よって、X = +0.40 [mV] となる。
同様に、+2.81-Y = 2.21、Y = +0.60 [mV] となる。 |