LABORATORY熱の実験室


  3.3 実験3

 熱源にドラム缶用ラバーヒーターおよび水用投げ込みヒーターを使用します。ドラム缶に断熱材を巻かない状態で加熱を行い、熱風発生機と比較します。
 
表9.測定結果
熱源 熱風発生機
HAP2076F
ドラム缶用
シリコンラバーヒーター
SBH0620
水用
投げ込みヒーター
SWB1115
(概要) 60Hz,200℃,
断熱材なし
断熱材なし 断熱材なし
初期水温 22.0℃ 23.5℃ 23.0℃
昇温温度Δt(45℃-初期水温) 23.0℃ 21.5℃ 22.0℃
水温45℃到達までの時間 3時間33分
(12780秒)
2時間26分
(8740秒)
4時間4分
(14675秒)
水温45℃到達時の
積算消費電力計指示値
8.9kWh 5.4kWh 5.7kWh
水温45℃到達時最高点 No.3(45.9℃) No.7(48.4℃) No.1(49.4℃)
水温45℃最終到達点 No.8 No.6 No.3
45℃到達時の最高点と
45℃最終到達点との温度差
0.9℃ 3.4℃ 4.4℃
水温45℃到達までに必要な消費電力量
(効率100%での理論値)
4.0kWh 3.8kWh 3.9kWh
積算消費電力計指示値における
必要消費電力量(理論値)の効率
44.9% 70.4% 68.4%
 
表10.水温測定全点45℃到達時の各部の温度
測定箇所 各測定点における測定温度[℃]
熱風発生機 ドラム缶用
シリコンラバーヒーター
水用
投げ込みヒーター
No.1 45.4 48.2 49.4
No.2 45.2 47.7 48.8
No.3 45.9 45.1 45.0
No.4 45.2 48.0 48.9
No.5 45.1 47.6 48.9
No.6 45.3 45.0 45.1
No.7 45.2 48.4 48.9
No.8 45.0 47.5 48.7
No.9 45.6 45.1 46.7
No.10 43.8 75.7 47.0
No.11 195.2 42.2 40.3
No.12 23.1 22.2 23.3
 
表11.熱源別による水温の温度差、平均温度
熱風発生機 ドラム缶用
ラバーヒーター
水用
投げ込みヒーター
45℃到達時の最高点と
45℃最終到達点との温度差
0.9℃ 3.4℃ 4.4℃
45℃到達時の水温測定9点の
平均温度
45.3℃ 47.0℃ 47.8℃
 
 結果より、加熱効率の良い順にドラム缶用ラバーヒーター(70.4%)、水用投げ込みヒーター(68.4%)、熱風発生機(44.9%)となりました。熱風発生機については、ヒーターだけでなく送風機も電力を消費し、他の2つに比べて加熱効率が良くないことが確認できました。しかし、表11の水温最高点との温度差および、水温の平均温度に示す通り、ドラム缶用ラバーヒーターに比べ水用投げ込みヒーターがより多くの熱量を水に与えたことが分かります。したがって、一概にドラム缶用ラバーヒーターの加熱効率の方が良いとは言えません。
 また、温度均一性においては、表11より熱風発生機で温度差が0.9℃、平均温度が45.3℃と目標水温45℃に最も近く、ドラム缶用ラバーヒーター、水用投げ込みヒーターに比べて底面加熱の方が良い結果となりました。

  3.4 実験4

 熱源に水用投げ込みヒーターを使用します。保温ジャケット、断熱材をドラム缶に装着した状態で加熱を行い、熱風発生機と比較します。
 
表12.測定結果
熱源 熱風発生機 水用投げ込みヒーター
(概要) 60Hz,200℃,断熱材あり 断熱材あり
初期水温 18.4℃ 20.0℃
昇温温度Δt(45℃-初期水温) 26.6℃ 25.0℃
水温45℃到達までの時間 3時間48分(13679秒) 3時間49分(13770秒)
水温45℃到達時の
積算消費電力計指示値
9.0kWh 5.4kWh
水温45℃到達時最高点 No.3(45.5℃) No.1(47.5℃)
水温45℃最終到達点 No.9 No.6
45℃到達時の最高点と
45℃最終到達点との温度差
0.5℃ 2.5℃
水温45℃到達までに必要な消費電力量
(効率100%での理論値)
4.7kWh 4.4kWh
積算消費電力計指示値における
必要消費電力量(理論値)の効率
52.2% 81.5%
 
表13.水温測定全点45℃到達時の各部の温度
測定箇所 各測定点における測定温度[℃]
熱風発生機 水用投げ込みヒーター
No.1 45.2 47.5
No.2 45.0 47.1
No.3 45.5 45.0
No.4 45.1 47.3
No.5 45.0 47.2
No.6 45.2 45.0
No.7 45.3 47.3
No.8 45.0 47.0
No.9 45.3 45.5
No.10 41.5 46.0
No.11 195.0 42.3
No.12 20.1 21.1
 
表14.断熱材の有無による加熱効率、水温の温度差
熱風発生機 水用投げ込みヒーター
断熱材あり 断熱材なし 断熱材あり 断熱材なし
加熱効率 52.2% 44.9% 81.5% 68.4%
45℃到達時の最高点と
45℃最終到達点との温度差
0.5℃ 0.9℃ 2.5℃ 4.4℃
45℃到達時の水温測定9点の
平均温度
45.2℃ 45.3℃ 46.5℃ 47.8℃
 
 結果より、加熱効率、熱電対全ての温度が45℃に達した場合の最高点と45℃最終到達点との温度差、水温の平均温度は表14となり、
熱風発生機: +7.3% (44.9% → 52.2%)
水用投げ込みヒーター: +13.1% (68.4% → 81.5%)
加熱効率が良くなりました。また、温度差では
熱風発生機: 0.5℃
水用投げ込みヒーター: 2.5℃
平均温度では
熱風発生機: 45.2℃
水用投げ込みヒーター: 46.5℃
となり、熱風発生機、水用投げ込みヒーターともに断熱材無しに比べ温度均一性が向上しました。
 今回の結果では、保温ジャケットを巻いた方が、加熱効率、温度の均一性が向上しました。

 4. まとめ

 熱風発生機を使用し、熱風による底面加熱でお風呂(水温45℃)が沸くのが確認できました。
 ただし、ドラム缶用ラバーヒーターおよび水用投げ込みヒーターと比較し、伝熱面積の違い、加熱方法の違いにより、熱風発生機による底面からの加熱効率は良くありませんでした。しかし、側面加熱、直接加熱に比べ底面加熱では水温の均一性という優位性が確認できました。