LABORATORY熱の実験室

熱の実験室-新館
第19回 ラバーヒーターで家庭の結露防止
5ブロックの実験メンバーが交代で担当します
実験実施: 2011年1月~3月、 実験担当: 第4ブロック

 1.はじめに

 冬の寒い朝、カーテンを開けると窓にびっしりと水滴が付いて結露していることがよくあります。また、朝の冷え込みが厳しい長野では、その結露が凍結してしまうこともしばしばです。結露はカビやダニの発生する原因の一つで、そのまま放置するのは衛生的によくないため、こまめに水滴を除去したり結露を防止したりする必要があります。
 窓の結露現象は、窓の表面温度やその周辺(内外)の温湿度環境が大きく影響しています。空気は温度によって含むことができる水蒸気の量(飽和水蒸気量)が異なり、高温になるほど飽和水蒸気量は多く、温度が下がるほど少なくなります。それと同じで、ファンヒーターや石油ストーブなどの暖房によって暖められた室内の空気は多くの水蒸気を含んでいますが、窓の近くでは、低温の外気によって窓やその室内側近傍の空気が冷やされ、飽和水蒸気量が小さくなります。そして含みきれなくなった水蒸気は窓に水滴として目に見える形となって現れるのです。
 上記の原理をふまえると、家庭で結露を防止するためには、窓・サッシの表面温度を上げて、窓際で空気が冷やされないようにすることが有効な方法の一つとして考えられます。そこで今回は窓や窓枠に直接シリコンラバーヒーターを貼り付けて加熱し、窓およびサッシの表面温度を上昇させて、窓の結露および凍結の防止を試みました。

 2. 実験手順

 第4ブロックのメンバーそれぞれの自宅において、結露が生じる窓に両面テープ付きのシリコンラバーヒーターを貼り付けて通電しました。ヒーターは、窓あるいは窓枠に直接貼り付け、それらの効果を調べました。

 3. 実験結果

  3.1 実験1

 ラバーヒーター仕様: 幅50mm×長さ800mm、100V 12.5W、電力密度0.031W/cm2

(1) メンバーA邸
貼り付け前 貼り付け直後 夜間通電時
 1月17日21頃、南向きの窓の下部にヒーターを取り付けて通電開始です。夜間の通電時はカーテンを引いておきます。窓は、2重ガラス仕様です。一般的に複層ガラスは結露が生じにくいといわれていますが、コンディションによってはこのように結露が生じることもあるようです。
月日 時間 サッシ戸内側 外気*
1月17日 23:05 7℃ -2.4℃
ヒーター上部20cm程度 結露無し
月日 時間 サッシ戸内側 外気*
1月18日 7:06 2℃ -2.6℃
ヒーター上部20cm程度 結露無し
月日 時間 サッシ戸内側 外気*
1月18日 21:26 8℃ -1.0℃
ヒーター上部20cm程度 結露無し
月日 時間 サッシ戸内側 外気*
1月19日 7:00 4℃ -3.6℃
ヒーター上部30cm程度 結露無し
月日 時間 サッシ戸内側 外気*
1月19日 22:40 5℃ -2.4℃
ヒーター上部10cm程度 結露無し
月日 時間 サッシ戸内側 外気*
1月20日 7:30 3℃ -3.9℃
ヒーター上部10cm程度 結露無し
 *: 気象庁HPより長野地域のデータを参照
月日 時間 サッシ戸内側 外気
1月20日 20:10 5℃ 0℃
82%RH 60%RH
ヒーター上部11cm 結露無し
月日 時間 サッシ戸内側 外気
1月21日 7:30 3℃ -2℃
86%RH 60%RH
ヒーター上部13cm 結露無し
月日 時間 サッシ戸内側 外気
1月21日 22:10 5℃ -1℃
84%RH 55%RH
ヒーター上部7cm 結露無し
 窓ガラスに直接ヒーターを貼った場合、ヒーター上部10~30cm程度は結露が解消されるものの、それより上の結露は防止できませんでした。熱が上の方まで伝わっていないものと思われます。