LABORATORY熱の実験室

 ● 比例制御

 ON-OFF制御では、OFFになった後も温度上昇が続いてしまいますが、出力をだんだん小さくしていけば、これが抑えられます。 設定温度の70℃と設定温度マイナス10℃(60℃)の間を、比例(直線)で出力調整しました(70℃:0、65℃:50%、60℃:100%)。

制御・測定周期:10秒、安定後の温度範囲: 68.2~69.0℃(温度差 0.8℃)
 かなり、安定した温度になっていますが、設定温度より下側にズレています。比例制御の場合、設定温度の時の出力[%]が、(設定温度のときの放熱量 / ヒーターのワット数)[%] に等しければ、ズレがなくなりますが、放熱量は使用条件により変化しますので、必ずズレが生じます。上の例では、設定温度のときの出力が0なので、ズレているのは当然です。

 ● 比例制御 + 補正

 上の比例制御に、次のような、ズレを抑えるための補正を加えたプログラムです。
  • 測定温度と、ひとつ前の測定温度の差が1℃未満になったら、安定したと判断。
  • 安定後は、平均温度(初期値が0℃、ひとつ前の平均と現在温度の平均)と設定温度の差の分、設定温度をズラす。

制御・測定周期:10秒、安定後の温度範囲: 68.9~69.6℃(温度差 0.7℃)
 うっかりして、平均温度の初期値を0℃に設定してしまったので、安定した直後の平均温度は、そのときの温度の半分になり、出力が100%になってしまいました。しばらく100%が続いた後、比例帯に入って出力が低下した、という変な制御になってしまいました。しかし、温度の方は、初期に一気にズレを補正して、かなり安定しました。