LABORATORY熱の実験室

元祖 [熱の実験室] 第17回 - 省エネ塗料・放熱シートの性能を検証

「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。  

  第17回(2005年3月)の実験

 熱反射率99.61% という省エネ塗料と、放射率0.96 という放熱シートが手元にあります。このふたつ、本当にすごい効果があるのでしょうか? どちらも白い物質ですので、第11回「白い物質の放射加熱特性」と同じような方法で加熱して、性能を検証することにしました。

 ● 性能を検証する物質

▼ 省エネ塗料
 建築物の表面に塗ることで、熱を反射し、冷気も防ぐことで省エネになるという塗料です。
 ・外観: 艶なし白色
 ・熱反射率: 99.61%(カタログに記載の値)
 ・材質: アモルファスシリカ らしい
 アルミ板に塗装されているサンプルを切断して使用しました。

▼ 放熱シート
 電子機器内部の熱を、遠赤外線で放射するというシートです。
 ・外観: 艶なし白色
 ・放射率: 0.96(製品包装に記載の値)
 ・材質: シリカ、アルミナを主とした無機系材料(製品包装に記載)
 裏面に粘着剤があるシートです。

 ● 実験の方法

加熱対象
 性能検証する2物質の他、第11回「白い物質の放射加熱特性」の結果を参考に、4物質を選定して用意しました。合計6物質を、30mm角の銅板に塗布または両面テープで貼り、裏面にはKタイプの被覆熱電対(熱電対素線を、フッ素樹脂で絶縁被覆したもの)を アルミ粘着テープで貼り付けました。これを、断熱用の発泡スチロール材表面に貼りました。 物質は、写真の左から、次の通りです。
No.1 アルミ箔 アルミ粘着テープを貼り付け 比較用
No.2 マグネシア マグネシア(酸化マグネシウム)の微粉末を水で練ったものを塗布・乾燥 比較用
No.3 省エネ塗料 塗装されているアルミ板を切断し、両面テープで貼り付け  
No.4 放熱シート 製品の粘着剤で貼り付け  
No.5 シリコーンゴム 白色のシリコーンRTV(室温硬化型のゴム)を塗布・硬化 比較用
No.6 黒艶消し塗料 スプレー塗料で塗装 比較用
 No.1は、全般的に放射率が低い物質、No.6は全般的に放射率が高い物質で、その他は白い物質です。白い物質というのは、可視光線を吸収しにくいので白く見えますが、波長の長い赤外線は吸収しやすい場合が多いようです。
熱源(ヒーター)
(1) 日光 - 熱源温度 5780K(ケルビン)
 快晴のときの直射日光が、垂直に当るようにしました。
(2) 遠赤外線ヒーター ハイレックス反射板付
 高温の熱源として使用しました。
(3) シリコンラバーヒーター
 低温では、ヒーターの面積が大きくないと加熱効果が小さいので、面状ヒーターを使用しました。

 各物質の熱電対をデータロガーに接続し、温度変化を記録しました。