元祖 [熱の実験室] 第12回 - 「焼け石にお湯」は本当か?
「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。
第12回(2003年5月)の実験
「焼け石に水」といいますが、そのことわざの意味はともかくとして、実際に水をかけると、水は玉になってはじかれてしまいます。そのため、焼け石の温度はなかなか下がりません。
水は蒸発するときに最も多く熱を奪います。それなら、熱湯をかければ、すぐに蒸発する温度になりますから、水をかけるより冷やす効果が高いはずです。もちろん、熱湯の温度より低くはなりませんが。これを実験で確認することにしました。
● お湯で冷やす理由
20℃の水を加熱すると、沸点の100℃までは直線的に上がりますが、そこから更に温度を上げるには、液体の水を気体の水蒸気にするために、大きな熱量が必要になります。逆に、水で高温の物体を冷却しようとする場合には、この100℃の前後で奪う熱量が大きいということです。
20℃の水を高温の物体にかけると、水が玉になってはじかれてしまいますから、水は沸騰できないことになり、うまく冷却できません。沸点に近い熱湯なら、わずかな温度上昇で水蒸気になりますから、奪う熱量が多くなって冷却性能が上がるはずです。
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● 実験の方法
高温の物体として、アルミ鋳込みヒーター(シーズヒーターをアルミで鋳込んだもの)を使用しました。ヒーターの上に、流量を少なく一定にするためのステンレスパイプ(内径φ4)を取り付けたガラスロートを設置し、ここからお湯または水を注ぎます。
- アルミ鋳込みヒーター: 250×180×厚さ25 (約3.2kg)
- 温度測定箇所: アルミ鋳込みヒーターの中央(水を注ぐ場所)の厚さ方向の中心(ヒーター裏側から温度センサーを挿入)
アルミ鋳込みヒーターを410℃程度まで温度上昇させた後にヒーターの電源を遮断し、自然冷却で400℃になったら、1リットルのお湯または水を注いで冷却します。
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