LABORATORY熱の実験室

 

 ● 実験結果

■ 電流-電圧特性

 無負荷から定格内の15Aまで、1分間隔で1Aずつ電流を上昇させると、次のような電圧になりました。

電流 [A] 無負荷 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
電圧 [V] 103 103 102 102 101 101 101 100 100 100 100 100 99 98 98 98
 この間、エンジンが起動・停止を繰り返しますが、それによる電圧変動は1V程度です。無負荷での最高値は104Vでした。
 無負荷時の103Vが、15Aのときは98Vになりますが、問題ない値です。なお、電流が大きくなるにつれて電圧が多少低下するのは、電源から電圧測定部までの配線、電線やコンセント接触部の抵抗がありますから、自然な現象です。15Aで3Vは、3/15 = 0.2[Ω] となりますが、これは、断面積2mm2 の電線の約20mに相当します(2芯の電線の10m分)。配線の影響を除いた、電源部としての電圧降下はわずかと見られます。

■ 過負荷特性

 1500Wをオーバーするヒーターを使おうとしたとき、どのようになるのでしょうか? メインスイッチがあるので、ブレーカーが動作して電源がOFFになるように、このメインスイッチがOFFになるだろうと思っていました。ところが、実験してみると、それとは違う動作が確認されました。
 定格の15Aから、30秒間隔で、0.2Aずつ電流値を増加させていくと、16.4Aまでは増加させていくことができました。
電流 [A] 15.2 15.4 15.6 15.8 16.0 16.2 16.4
電圧 [V] 98 98 97 97 97 96 96
 定格内を含め、ここまでの結果をグラフにすると、次のようになります。
 ここまでは測定できました。ところが、更に電流を増加させようと、ヒーターに加える電圧を増加させようとしても、電流が増加しません。すると、電圧が90Vまで低下しているのが確認されました。更に続けて、70Vに低下するところまで確認しました。測定結果から、そのときのヒーターの抵抗値を計算して、これをx軸にしたのが次のグラフです。

 ヒーターの抵抗値を低下させていくと、5.8Ω付近まではほぼ一定の電圧ですが、それを過ぎると、電流の方がほぼ一定になり、電圧は低下しています。電圧と電流を、容量(ワット数)に換算したのが、次のグラフです。

 一般のブレーカーでは、多少電流オーバーしても、動作してOFFになるまで、ある程度時間がかかります。電圧が下がってしまうエスハイの方法は、確かに安全だと思います。ただ、電気製品のトータルの容量を把握しないで使って、例えば1kWのヒーターを2台使うと82V程度まで電圧が低下して、2台で1.35kWになっているのに、それに気付かない可能性もあります。

■ 絶縁抵抗

 AC100Vから漏電があると、当然危険です。もちろん、200V以上の電圧の電池本体の方もですが。コンセント部分と、エスハイのボディの金属部分の間を、DC500V絶縁抵抗計で測定してみましたが、100MΩ以上あって、問題ありませんでした。
 なお、後ろのコンセントのところには、右写真のようにアース端子があります。こことボディの金属部分の間の抵抗値は0.13Ωでしたので、ボディに直接接続されているようです。でも、電源はボディから絶縁されているのに、アースは安全上どういう効果があるのか? 良くわかりません。ボディには、DC12Vのマイナス側が普通の車と同様アースされていますし。