No.18 熱電対の補償導線

 熱電対を計測器などに接続するとき、「補償導線」という専用の導線を使用します。

 ■ なぜ補償導線を使用するのか?

 熱電対を直接計測器に接続しようとすると、
  • 熱電対素線が細い、または単線で太いので接続が難しい。
  • シースタイプ熱電対では、絶縁して素線を取り出して接続するのは困難。
  • コスト面で、熱電対は短くしたい。
 というような問題が発生します。そこで、熱電対と計測器の間を、通常の導線のように手軽に扱うことができる、補償導線で接続するのが一般的です。

 ■ 補償導線とはどういうものか?

 補償導線というのは、熱電対とほぼ同等の熱起電力特性の金属を使用した導線です。そのため、熱電対の種類に合わせて専用の補償導線を使用する必要があります。なお、熱電対とほぼ同等の熱起電力とは言っても、同等なのはその補償導線の使用温度範囲(補償接点温度)内に限られます。
 補償導線に、熱電対と同じ金属材料を使用している場合もありますが、その場合でも、使用温度範囲を超えても熱電対と同等の正確さで、熱起電力特性を示すわけではありません。
 なお、熱電対と同様に、補償導線についてもJISに規定されています。各補償導線の内容については、カタログのページの、「温度センサーカタログ」または「八光電機 電熱器総合カタログ」に掲載されています。

 ■ 悪い使用例

普通の電線を使う

 例えば、電装ボックス内に温度調節器を取り付ける場合など、熱電対を接続する端子台から温度調節器までの間を、通常の電線にしてしまう場合があります。熱電対と補償導線の接続点(補償接点)と、計測器への接続点(基準温度接点)が同じ温度なら、計測温度にズレは生じませんが、実際には、離れていたり、計測器の発熱などで2つの点には温度差があります。
 例えば、基準温度接点が25℃、補償接点が20℃なら、実際の温度より5℃高く計測されます。

補償導線の接続が逆

 このような接続を、わざとやることはないと思いますが、間違えて熱電対と補償導線の+-を逆に接続してしまうと、正しく計測できません。
 一般に、補償導線の+-は明確にわかりますので、計測器の端子に対して熱電対が逆の接続になってしまいます。そのときは、測温接点の温度が高くなるほど、低い温度と計測されます。

熱電対が短い

 熱電対より補償導線の方が取り回しがしやすいために、このような接続状態になっている場合はけっこうあると思います。上の例では、熱電対が受け持つ熱起電力は20℃分で、残りは補償導線が受け持っていることになります。そのため、計測温度には、熱電対より補償導線の性能が大きく影響してしまいます。
 補償接点の温度が補償導線の使用温度範囲を超えてしまうと、補償導線は熱電対と同等の熱起電力ではなくなりますので、正しく計測できませんし、接続部での断線などで、計測不能になることもあります。

 ■ コネクターは?

 熱電対用の専用のコネクターは、熱電対とほぼ同等の熱起電力特性の金属を使用しています。
 通常のコネクター・端子台を使用する場合には、その両端(計測器側と測温接点側)の温度が極力同じになるようにする必要があります。温度差があると正確な計測ができません。