温度センサーとして広く使用されている熱電対は、工業規格で特性が決められていますので、同じ種類の熱電対なら、メーカーを問わず使用することができます。
熱電対は、たとえ断線していなくても、特に高温で長時間使用すると、劣化して特性が変化します。熱電対を交換するときは、「八光熱電対HTシリーズ」の豊富なバリエーションからお選びください。
■■重要■■ 熱電対種類は合っていないと使用できません。
熱電対は、2つの異なる金属線を接続して回路をつくり、2つの接点に温度差を与えると電圧が発生する現象を利用していますが(詳しくはこちらをご覧ください)、この金属種類が合っていないと、正しい温度が測定できません。
JIS記号 |
+極線 |
-極線 |
温度範囲※ |
古い記号 |
K |
クロメル | アルメル |
-200℃~1000℃ |
CA |
J |
鉄 | コンスタンタン |
0℃~600℃ |
IC |
T |
銅 | コンスタンタン |
-200℃~300℃ |
CC |
E |
クロメル | コンスタンタン |
-200℃~700℃ |
CRC |
N |
ナイクロシル | ナイシル |
-200℃~1200℃ |
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R |
白金13%ロジウム | 白金 |
0℃~1400℃ |
PR |
S |
白金10%ロジウム | 白金 |
0℃~1400℃ |
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B |
白金30%ロジウム | 白金6%ロジウム |
0℃~1500℃ |
工業用に多く使用されているのは、K, J, T, E ですが、その中でも、K が大半をしめています。なお、古い熱電対では、上表の「古い記号」という欄の記号で表示されているかもしれません。K, J, T, E については同じものと考えて良いですが、PR -> R では、多少温度差を生じてしまいます(1000℃で、3.5℃程度)。SKなど、記号の前にSが付いている場合、このSはシースタイプ熱電対であることを示していて、+-極線は同じです。
熱電対が破損していたり、汚れていて表示を識別できないとき(取り扱い説明書などもみつからないとき)は、接続されている測定器、温度コントローラーを調べてください。熱電対種類に合わせた設定がされているはずです。
「クラス1」 「クラス2」 「クラス3」 があり、数字が小さいほど許容差が小さくなります(より正確ということです)。当社の標準仕様では「クラス2」です。一般工業用で、「クラス1」を指定する必要があるのはまれだと思います。
温度測定の用途に合わせて、多くの形状・寸法の製品があります。当社の規格品にあるのは、次の形状です。
HT-20 標準タイプ ■シースタイプ■
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HT-50 開放型端子箱タイプ ■一般型保護管タイプ■
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HT-60 密閉型端子箱タイプ ■シースタイプ■一般型保護管タイプ■
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HT-100 ホットランナー用バイヨネットタイプ ■シースタイプ■汎用タイプ■
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HT-110 ホットランナー用ネジ付きタイプ ■シースタイプ■汎用タイプ■
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HT-120 ノズルブッシュ用バンドタイプ ■シースタイプ■汎用タイプ■
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HT-130 ホットランナー用Lタイプ ■シースタイプ■
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HT-140 丸端子取付けタイプ ■汎用タイプ■
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HT-150 フォーク端子取付タイプ ■汎用タイプ■
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HT-160 ネジ付きリード直出しタイプ ■汎用タイプ■
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HT-170 リード直出しタイプ ■汎用タイプ■
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シースタイプ は、熱電対素線を金属シース内に無機絶縁物(マグネシア)とともに高密度に圧入封入してあるものです。素線が外気に触れていないので劣化しにくく、応答が速い、耐震性に優れている、曲げることができる、などの特長があります。
規格品シースタイプの保護管材質はSUS316、その他のタイプの保護管材質はSUS304です。
シースタイプ熱電対のシース径は、大きい方が常用限度(空気中で1万時間以上の使用に耐える温度)が高くなります。SUS316シースのKタイプ熱電対は、次のようになっています。
シース径 |
φ0.5 |
φ1.0, 1.6 |
φ2.3 |
φ3.2 |
φ4.8, 6.4 |
φ8 |
常用限度 |
600℃ |
650℃ |
700℃ |
750℃ |
800℃ |
900℃ |
応答速度は、シース径が小さい方が速いので、使用温度が低いときは、より細いものにしても良い場合があると思います。金型の穴などに挿入する場合は、シース径が小さいと熱伝達が悪くなりますので、同じ径にしてください。
シース長さを短くすると、熱伝導で、熱電対素線と補償導線の接続部の温度が高くなります。この部分が100℃を越えないようにしてください。
熱電対から測定器、温度コントローラーが遠くて、補償導線の長さが足りないときに、普通の電線などは使用できません。補償導線は、熱起電力が熱電対に近い線です。普通の電線をつなぐと、その線の両端の温度差分の誤差が生じてしまいます。
交換に適当な製品が規格品にないときは、特注品も製作します。お問い合せください。
・特注品の例(真空対応熱電対)