No.27 水蒸気による空焼きに注意!

 水用のヒーターで、水蒸気が溜まったためと見られる、空焼き事故がときどきあります。
  • 水は自動供給で、温度コントロールもしていて、絶対に空焼きしないようになっている。
  • ヒーターがおかしいのではないか?
  • ワット密度(単位面積当りの発熱量)が高すぎるので、膜沸騰しているじゃないか?
 こんなはなしがありますが、何らかの不都合で、ヒーターが空気中に出てしまった場合以外は、水蒸気による空焼きだと考えられます。

 ■ 水蒸気による空焼きの実際

(1) 上に蒸気が溜まってきた
(2) ヒーターが露出し始めた
(3) 完全に空焼き状態
(4) ヒーターが赤熱した
 この実験では、フラスコの上部に容器をつなげ、フラスコ上部の細くなった部分は、シリコーンスポンジで1/4位の開口面積になるように、ふさいでいます。ヒーターは、フラスコの細い口に入るように、サイカンヒーターを使用しました。
 フラスコ上部の容器にも水が入っていて、フラスコは一杯です。ところが、水が沸騰してからは、細い開口部を水蒸気が勢い良く流れるので、水は下に落ちることができなくなります。フラスコ内には水が供給されず、水蒸気となって減るだけなので、水蒸気中で空焼き状態になります。
 ガラスのフラスコを使用しているので、一部赤熱した時点で実験を中止しています。更に通電を続けると、水が減って水蒸気の勢いがおさまり、水は落ちることができるようになりますが、その水がまた蒸気になるので、一度空焼き状態になると、ヒーターの発熱が続く限り、正常には戻りません。通電をやめると、水蒸気の発生がなくなるので、水は下に落ちます。

 ■ 空焼きしないためには

必要以上に大きいワット数にしない
 水はいくら加熱しても、沸点の100℃(常圧時)以上にはなりませんから、水蒸気を利用する場合以外は、沸騰しない温度にコントロールするか、必要以上のワット数にしないようにする必要があります。余分な熱量は水蒸気を発生させます。

水蒸気・水の通路を確保
 水蒸気が発生する可能性がある場合は、ヒーターがある部分から水蒸気が出て、水が供給される通路を、余裕を持って確保する必要があります。

湯煎は特に注意
 水蒸気による空焼き事故が、最も多く発生しています。加熱時間を短縮しようと、ワット数を大きくしすぎて、内容器と外容器のすき間が狭いと、ヒーターの付近に水蒸気が溜まってしまうためと考えられます。ワット数を必要以上に大きくしても、加熱効果は上がりません。

空焼きしやすい湯煎

 いずれにせよ、事前に、空焼き状態にならないことを確認した条件で、本使用するのが安全です。

 ■ よくある勘違い

空焼きしなくても、ヒーターの温度が上がりすぎる
 油のように、蒸発しない液体を加熱する場合は、ヒーターのワット密度にほぼ比例して、ヒーターの表面温度が上がります。けれども、水を加熱する場合には、ヒーターのワット密度を上げていっても、ヒーターの表面温度は、水の沸点(100℃)より少し高い温度にしか上がりません。油を加熱するときは、対流だけで熱が伝わりますが、水には、沸騰により熱が伝わるためです。詳しくは、「熱の実験室 第2回」を見てください。

膜沸騰で空焼きになった
 膜沸騰は、熱源が蒸気の膜に覆われる状態です。ヒーター表面のワット密度が非常に高いと、膜沸騰する可能性があります。ワット密度が100W/cm2 以上あれば、可能性が出てきますが、そんなに高いワット密度の水用ヒーターは販売されていませんし、あったとして、ワット密度が高すぎるので、膜沸騰の瞬間に断線してしまい、空焼き状態になることはできないはずです。詳しくは、「熱の実験室 第3回」を見てください。