Question [疑問点]
ヒーターの端末シールとは、どういうものか?
Answer [回答]
シースタイプのヒーターは、発熱線とシースの間の絶縁物として、高温でも絶縁抵抗が高く、熱伝導が良い、マグネシアが使用されています。
マグネシアの成分は、95~99%が MgO ですが、これは吸湿しやすい物質です。MgO粒子の表面に、水の分子が付着すると絶縁抵抗が低下します。また、Mg(OH)
2(水酸化マグネシウム)に変化すると、温度が低いときには絶縁抵抗が高くても、通電して温度が上がると(約 300℃以上)分解して、H
2Oを放出して、絶縁抵抗が低下します。
MgO + H2O → Mg(OH)2 → MgO + H2O
低温 高温
マグネシアが吸湿するのを防ぐために、ヒーター端末部は、絶縁性のあるシール剤で封口しています。主なシール剤の特徴は、次の通りです。
エポキシ樹脂
120℃程度まで使用可能。樹脂の中ではガス透過が小さいので、シール性が高い。異常高温では、炭化して絶縁低下する。
投込みヒーター、水用のプラグ・フランジヒーターなどに使用。
シリコーン樹脂
200℃程度まで使用可能。ガス透過が大きいので、シール性は低い。異常高温になっても、シリカに分解されるので、絶縁低下してショートすることがない。
油用のプラグ・フランジヒーター、空焼きヒーターなどに使用。
ガラス
250℃程度まで使用可能。シール性が非常に高い。衝撃に弱い。異常高温では、絶縁低下する。
シール性能が低い、シリコーン樹脂が多く使われているのは、異常高温になってもショートしない、安全性のためです。