熱の実験室-新館
第39回 短時間で熱風を発生させることが可能なホットエアビーム
5ブロックの実験メンバーが交代で担当します
実験実施: 2016年9月、 実験担当: 第2ブロック

 1. はじめに

 ホットエアビームなどで熱風を発生させたい場合、運転開始後ヒーターが温まるまでの準備時間が必要なため、熱風が出るまでには時間がかかってしまいます。規格ホットエアビームは、送風をしないでヒーターに通電を行うと、ヒーターがオーバーヒートして早期断線の原因になるのですが、送風しない状態での予熱運転が可能、つまり熱風を使用したいときにすぐに熱風を発生させることができれば、運転開始後すぐに熱風を出すことができ、熱風を出したり止めたりの間欠運転もできるようになります。今回特殊なホットエアビームを製作し、その性能試験を行いました。

 2. 実験

  2.1 実験器具

(1)特殊ホットエアビーム
 送風を行わずにヒーターに通電をした場合、早期断線してしまう理由はヒーターが空焼状態になりヒーター内部の発熱線が高温になってしまうためです。内部の温度が高温になりすぎないようにするために熱源として熱電対入りカートリッジヒーターを使用しました。この熱電対を使用してカートリッジヒーター内部温度に制限をかけます。また、規格品のホットエアビームと同じく、筐体内部のエアー(雰囲気)温度の制御用熱電対も取り付けました。

図1 特殊ホットエアビーム ヒーター定格 200V 1500W
(2)吐出しエアー温度測定用熱電対
 ホットエアビームから吐き出されるエアーの温度を測定するために、図2のような熱電対を製作しました。
(3)温度コントローラー:ダブルサーモ200(HTM3204)
 カートリッジヒーターが高温にならないように温度制限を掛けることが可能で、なおかつ、筐体内部の温度エアーを目的の温度で温調することが可能な温度コントローラーとして「ダブルサーモ200(HTM3204)」を使用しました。
図2 吐出しエアー温度測定用熱電対 図3 温度コントローラー

   2.2.1 特殊ホットエアビームの昇温特性の確認

 まずは特殊ホットエアビームに送風を行わない状態で予熱した際の昇温特性について調べました。

    2.2.1.1 実験手順

1. 温度コントローラーと特殊ホットエアビームを配線する。
 カートリッジヒーター内部温度制限用熱電対→ヒーター温度制御用熱電対入力に接続
 筐体内部エアー温度制御用熱電対 → ワーク温度制御用熱電対入力に接続
2. 温度調節器に温度設定を行う。
 ヒーター温度設定用温度調節器(カートリッジヒーター内部温度):600℃
 ワーク温度設定用温度調節器(筐体内部エアー温度):500℃
3. ヒーターに通電を行う。

    2.2.1.2 結果

 特殊ホットエアビームに送風を行わない状態で予熱した際の、カートリッジヒーター内部温度と筐体内部エアー温度について、図4にまとめました。カートリッジヒーター内部温度と筐体内部エアー温度で、温度ギャップが大きく、カートリッジヒーター内部温度が600℃に到達した時点で温度差は300℃でした。また、筐体内部エアー温度は目標温度である500℃に到達しませんでした。この結果より、カートリッジヒーター内部温度に温度制限を掛けずに送風を行わない状態で筐体内部エアー温度のみで温度制御を行った場合、温度設定によっては、カートリッジヒーター内部温度が600℃を超えて上がり続けることは明らかです。その場合、ヒーター内部の発熱線が高温となり断線に至る可能性があります。

図4 特殊ホットエアビームの昇温特性