LABORATORY熱の実験室

実験2
 この液体加熱の実験用に、同じ形状・同じ消費電力でフィンを巻いたヒーター、フィン無しのヒーターの2種類の投込みヒーターを製作しました(下図(1)、(2))。液体加熱においてフィンの効果はあるのかどうか、実験してみました。
 本実験の前に予備実験をおこない、空気中で加熱したときのフィン表面、ヒーター表面の温度を測定しました。その結果、表面電力密度2.3 W/cm2で通電した時、(1)のフィン表面は最大で323℃、(2)のヒーター表面では最大532℃まで温度が上昇しました。パラフィンは引火点が149~232℃、自然発火点が260~371℃ということで、ヒーターの温度が上がりすぎると危険なため、本実験の方では表面電力密度を少し下げ2.0 W/cm2 (250W)で通電することにしました。


(1)フィン有り

(2)フィン無し
ヒーターシース: SUS316L φ10
フィン: SUS304
(1)フィン有り
 初めは固まったパラフィンワックスの上にヒーターを置いているので、ヒーターに触れている部分から融解が始まっていきました。ヒーターが空焼き状態のときは、パラフィンワックスが過熱され煙が出る場面もありましたが、発熱部全体がパラフィンワックスに浸かるようになると煙は出ませんでした。その後は徐々に塊は小さくなり、最終的に3時間24分ですべてのパラフィンワックスが溶けました。
(2)フィン無し
 フィン無しのヒーターは、空焼き状態でヒーター表面500℃程度まで上がることが予備実験の結果から分かっていたので、冒頭の10分間は様子を見ながら電圧を少しずつ上げ、最終的に250Wになるところまで昇圧することにしました。加熱中はフィン有りのときとおなじように順調にパラフィンワックスは溶けていきましたが、終わってみれば、試験時間4時間30分と1時間ほどの大きな差が生じました。実験終了後の液温はおよそ105℃でした。