LABORATORY熱の実験室

 4. 実験結果

 測定した温度と消費電力から熱伝導率を計算すると、表2のような結果になった。
表2 計測結果
断熱材 安定後の断熱材低温側温度[℃] 熱伝導率 [W/(m・K)]
200℃温調 300℃温調 200℃温調 300℃温調
カタログ値 計測値 カタログ値 計測値
セラミック系(1) 63.5 93.1 0.07 0.046 0.08 0.11
セラミック系(2) 60.6 89.1 0.07 0.041 0.08 0.093
セラミック系(3) 58.9 87.8 0.05 0.047 0.07 0.116
セラミック系(4) 60.7 85.8 0.05 0.051 0.065 0.115
鉱物系 58.9 85.2 0.05 0.044 0.08 0.098
ガラスファイバー系 64.1 91.3 0.067 0.04 0.09 0.108
 試験時の計測した温度記録の一部を掲げる。
 (ホットプレートの温度が同じなら、全て同じような形状のグラフになるので、代表例を掲げる。)

図6 セラミック系(2) 200℃温調

図7 セラミック系(2) 300℃温調

図8 ガラスファイバー系 200℃温調

図9 ガラスファイバー系 300℃温調
 結果より、カタログ値と比較すると200℃温調ではカタログ値より低く、300℃温調では高い値となった。考えられる要因として以下の点が挙げられる。
  • 銅板やホットプレートDEMOの放熱があるため、消費電力計の測定値が断熱材に加わった正確な熱量でない
  • 銅板で断熱材を挟み込んでいるため、銅板の自重により断熱材の密度、厚みが変化している可能性がある
  • 熱電対の取付け方による測定誤差
  • ホットプレートDEMOの温調器やデータロガー、消費電力計の精度
  • 周囲環境による放熱量の違い
などが考えられる。

 5. まとめ

  • 各断熱材のカタログ値とは多少の差はあるが、今回のような簡易的な方法でも参考値として使用できる値が計測できることがわかった。
  • 全般的に200℃の結果よりも300℃の結果のほうが、カタログ記載の熱伝導率との差が大きくなった。ホットプレートDEMOと銅板の側面からの放熱の影響が大きくなったことが、原因の1つである可能性がある。また、更に温度を高くして試験をすれば、カタログ値との差が大きくなることが予想される。
  • 今回の試験では□350のホットプレートDEMO IS35Pを使用したが、さらに大きな熱板で同等の試験をすれば、より正確な熱伝導率が求められるかもしれない。
  • 200℃、300℃のみの試験だったため、断熱材の材質ごとの差が確認できなかった。さらに高温域で計測すれば各材質の差がみられるかもしれない。

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