2.3 考察

 熱電対のスリーブ温度は下から挿入した場合も横から挿入した場合と同じく、式2.1、2.2に従うため、スリーブ上昇温度と加熱ブロック温度、距離、シース径の関係が熱電対の挿入方向に関係なく同様の傾向が出るのは当然である。
T 棒の温度
f 棒の断面積
λ 棒の熱伝導率
T0 熱浴の温度
p 断面積の周長
α 棒の熱伝達率
x 熱浴からの距離
r 棒の半径
 
 ここでは横から挿入した場合と比べ、下から挿入した場合の方が、スリーブ温度が高くなった理由について考察する。
 前回と今回では熱電対の挿入方向以外に次のような違いがあった。ひとつは測定方法の違いで取付金具の位置及び距離Lの定義が異なる。前回は取付金具がスリーブ側のブロック端面にあったのに対し、今回は作業性の問題で図1のように取り付けていた。また前回は距離を取付金具からスリーブまでをLにしていたのに対し、今回はブロック端面からの距離をLにしていた。もうひとつは熱電対周りの環境の違いである。人為的なものでは、前回はブロックを台の上に置いていたのに対し、今回はブロックを吊り下げて実験を行った。ただし吊り下げた周囲には台や壁があり完全な解放状態ではない。自然的なものでは加熱ブロックが熱電対の下にあるか横にあるかで熱電対周りの空気の対流の仕方が異なると予想される。
 以上を踏まえ、挿入方向の違いによるスリーブ温度の違いの原因について調べるために追加実験および熱解析を行った。

 3. 実験2

  3-1 実験条件

1. 加熱ブロックは実験1と同じ場所に吊るし、取付金具をスリーブ側に取り付る (下2回目)
2. 1に加え加熱ブロックの周りに出来るだけものがない場所に吊るす (下3回目)
1、2ともに取付金具からの距離を50 mmとし、加熱ブロックの温度を100 ℃、300 ℃、500 ℃、700 ℃とした場合のスリーブ温度を測定した。

  3-2 実験結果

 追加実験結果を横から挿入した場合、2.2の実験結果と合わせて表3、図2にまとめた。スリーブ上昇温度が小さい一部を除き、スリーブ温度は下(1回目)>下(2回目) >下(3回目) >横となった。
 
表3 スリーブ上昇温度測定データ (下から挿入した場合)
 (a) シース径φ 4.8 mm
  距離50 mm
下(1回目) 下(2回目) 下(3回目)
ブロック温度 ℃ 100.0 4.0 3.9 3.5
300.0 16.2 13.8 13.0
500.0 32.7 29.5 26.3
700.0 57.4 50.9 47.1
 (b) シース径φ 3.2 mm
  距離50 mm
下(1回目) 下(2回目) 下(3回目)
ブロック温度 ℃ 100.0 1.1 2.0 2.3 1.8
300.0 5.2 9.0 7.6 7.1
500.0 13.9 20.9 18.3 15.6
700.0 29.1 42.0 35.5 32.3
 (c) シース径φ 2.3 mm
  距離50 mm
下(1回目) 下(2回目) 下(3回目)
ブロック温度 ℃ 100.0 0.4 0.8 1.5 0.7
300.0 3.0 5.5 5.0 3.9
500.0 10.1 15.7 13.8 11.3
700.0 24.8 36.0 30.5 27.0
 (d) シース径φ 1.6 mm
  距離50 mm
下(1回目) 下(2回目) 下(3回目)
ブロック温度 ℃ 100.0 0.3 0.7 1.4 0.5
300.0 2.1 4.8 5.0 3.0
500.0 8.1 14.0 12.9 9.7
700.0 21.1 32.3 28.3 24.4
 (e) シース径φ 1.0 mm
  距離50 mm
下(1回目) 下(2回目) 下(3回目)
ブロック温度 ℃ 100.0 0.2 0.7 1.4 0.4
300.0 1.9 4.7 4.6 2.6
500.0 7.4 14.1 12.4 9.3
700.0 19.9 33.1 27.0 22.1

図2 ブロック温度とスリーブ上昇温度の関係の比較。