LABORATORY熱の実験室

 

  実験No.3

 実験No.2の結果を受け、温度の立ち上がりをさらに早くするため、電力密度を1.5W/cm2にあげたヒーターを製作しました。また、ヒーターとポップコーンの容器を密着させつつ、振る動作を可能にするためバネと取っ手を付けた治具(左端)を開発しました。
 ヒーターの表側に熱電対を取り付け、試験中のヒーターの温度を測定しました(a)。
 治具の中に断熱材(シリカウール)を敷き、ヒーターと容器を載せ、バネで容器を固定します。そして、治具の取っ手を持って揺すりながら加熱開始です。40秒ほどでバターが溶け始めました。通電開始から1分で140℃まで達しました(b)。
 2分経過後、236℃
 2分20秒で一つ目が弾けました。大幅に時間短縮です。
 3分経過後、271℃
 3分を過ぎたあたりから、少しずつコーンが弾けていきます。
 (c)は、約3分30秒時点の様子です。温度は282℃に達しました。
 試験は4分で終了しましたが、最後の30秒で、一気にコーンが弾け、フィルムはパンパンに膨らみました(d)。実験No.2よりも30分も早く試験を終えました。通電終了時の温度は305℃でした。
 新しい治具と電力密度を1.5W/cm2にあげただけで、ここまでうまくいくとは想像できませんでしたが、苦労が報われた気分です。
 通電を終えた時点で300℃を超えていましたが、超えていた時間が短時間であったためか、ヒーター自体に目立った損傷は見られません。
 あと数回は問題なく使えそうです。
 肝心のポップコーンは、ガスコンロで作った時とおなじくらいの出来栄えで、メンバー全員でおいしく頂きました。
 わずかに焦げたコーンも有りました。ガスコンロで調理したときも焦げはあったので、まったく問題ないレベルです。

  実験No.4

 比較実験として、実験No.3で使用した治具を使って、スペースヒーターでも同じように実験を行いました。熱電対は加熱面と反対の面に取り付けました。電力密度が同じだとラバーヒーターとスペースヒーターでどのような差が出るのでしょうか。
 加熱から1分経過後、112℃
 1分30秒経過後、全体的にバターが溶けています。温度は155℃。
 その後、パチパチとバターが弾ける音はしますが、コーンには特に変化が見られません。
 6分30秒あたりで、一つ目のコーンがはじけ、連続して弾けだしました。この時ヒーターの温度は402℃に達していました(b)。
 7分30秒で通電終了。終了時のヒーターの温度は430℃に達しました(c)。
 通電終了してもヒーターの余熱でコーンがまだ弾けていました。
 実験No.3よりも時間はかかったものの、ポップコーンは、すばらしい出来で、おいしく調理できました。