LABORATORY熱の実験室

元祖 [熱の実験室] 第36回 - トンネルの温度測定-自転車でテスト走行

「熱の実験室」のコーナーでは、熱を利用した身近な実験を行なっています。

第36回(2020年6月)の実験
 昨年12月に実施した、第34回の実験で書いたとおり、新潟県の上越市から糸魚川市の海沿いにある、線路跡を利用した「久比岐自転車道」のトンネル内を、自転車で走行しながら温度測定しようとしています。初夏になったので、本番の前に自転車の振動などで問題ないか確認するために、テスト走行を行いました。ルートは、長野県白馬村のジャンプ台と、小谷村と糸魚川市の境い目にある姫川温泉の往復です。

 ● 自転車で温度測定するためのデータロガー

 第34回の実験で製作した、Raspberry Pi を使用したデータロガーを、自転車に取り付けできるようにしました。
  • コンピューター: Raspberry Pi Zero W
  • センサー入力: CDS(照度センサー) × 1 + サーミスタ(温度センサー) × 2
  • 測定: 照度、温度 (1秒間隔で測定し、2秒間隔で平均値を記録)
  • 電源: モバイルバッテリー
 厚紙に、測定回路の基板をビス止めします。Pi Zeroは軽量化のためにカバーを除去して、この基板にGPIOのコネクターだけで固定しています。モバイルバッテリーといっしょに、細長い形状に面ファスナーで一体化し、自転車用データロガーとしました。重いモバイルバッテリーが下側になります。 温度センサーを除いた質量は177gで、内モバイルバッテリーが107gでした。
 雨の心配があるので、細長いポリ袋を上側からかぶせた状態で、自転車に取り付けます。案外と取り付け可能な場所がなく、ハンドルの前からひもでハンドルステムにしばりつけ、振動対策で、間にエアーキャップをはさみました。ふらつかないよう、下側のモバイルバッテリー部分を、ブレーキ & シフトワイヤーに面ファスナーで巻き付けました。
 照度センサーは、ポリ袋内の一番上です。温度センサーは、クランク下側とハンドルの上、高さが違う2か所に固定しました。

 ● 測定の手順

 走行した軌跡(GPS情報)は、iOSのアプリ「MyTracks」を使用して、15秒間隔で記録しました。
 Pi Zeroの電源を、モバイルバッテリーのUSB端子に接続し、起動を待ってから、スマートフォンからPi ZeroのWi-Fiアクセスポイント(SSID を WIFISSID004 にしてあります)に接続します。
 Pi ZeroのWebサーバー(Apache)に、スマートフォンのWebブラウザで接続し、データロガーのメニューを開きます。Pi Zeroは、インターネットに接続しないと時刻を取得できないので、スマートフォンの時刻と同期させています。スタートをクリックして、測定を開始します。
 運転確認の画面で、正常に測定できていることを確認したら、スマートフォンのWi-FiはOFFにします。OFFにしないと、スマートフォンはPi ZeroとWi-Fi接続されたままになるので、インターネットに接続できません。
 測定が終了したら、スマートフォンのWi-FiをONにして、再度Pi ZeroのWi-Fiアクセスポイントに接続して、データロガーのメニューから運転終了します。その後に、メニューからPi Zeroをシャットダウンし、Pi Zeroの電源をモバイルバッテリーのUSB端子からはずします。 Pi Zeroは小型・省電力の反面、動作はゆっくりなので、動作状況をよく確認しながら操作を進める必要があります。