LABORATORY熱の実験室

 ● 加熱調理の実施

 Raspberry Piで低温調理するための、スマートフォン用ソフトを使用して、66℃の連続コントロールで10時間調理しました。

運転確認
連続コントロール開始初期

グラフ
連続コントロール開始初期

運転終了後 開始から約2.5時間を拡大

運転終了後、全体
温度
 温度コントロール用のth5の温度は、5回波打った後、開始後1時間くらいから一直線で安定しています。品温のth7は、空気中の雰囲気加熱なのでゆっくり温度上昇し、5時間くらい経過すると一定の温度になっています。
 前回もそうですが、th5の温度が安定するのに時間がかかるのは、ポット内の空間という、ふわふわした測定のためで、もっとヒーターの発熱に対して応答の良い水中でやると、条件により数分で安定します。
消費電力
 記録したDuty比から、調理した10時間の平均は18.4%だったので、定格120Wのヒーターが、平均20.1Wということになります。全電力消費量は、10時間なので201Whになります。

 ● 調理結果

 加熱前は、ポリ袋内の空気を抜いて密封しましたが、空気がかなり入っていました。はじめ、ポリエチレンも空気を通さないわけではないので、そのためかと思いましたが、この程度の温度でこんなに空気を通すのでは、密封用になりません。確認すると、スペアリブの骨がわずかな穴をあけていたためでした。肉を加熱すると縮むので、鋭い骨の切断部が出て袋に当たっていました。わずかな穴で、調理中の温度が一定だったために、調味液が外に出ないで空気が入り、気付きにくかったようです。
 空気が入ったことで、調味液での味付けは弱くなったはずです。
空気がかなり入っている 調理した豚肉を切り分けた状態
 もっと赤い、食べて大丈夫かな、というのを予想していたので、少し高めの66℃に設定しましたが、豚肉を切った状態では、赤みがある部分はわずかでした。63℃の情報をもっと確認すると、60℃では2時間9分など、安全を見る必要のある値ではないようです。もっと低い温度でやっていたら、低温調理らしい結果が出ていたと思います。
 食べた感じとしては特に違和感なく、同じ材料を低温・高温でやっていないので実際はわかりませんが、高温調理より水分量が多く、やわらかい状態になったはずです。 好みによると思いますが、温かい状態より、冷蔵庫で冷やした状態の食感の方が良いと感じました。

 ● まとめ

 この低温調理方法は、消費電力(これは電気ポットの断熱性能に依存しますが)が小さく、調味料の使用がわずかで、経済的です。また、温度設定して放っておけば良いので、調理技術が不要です。長時間の調理ですが、Paspberry Piの運転状態をスマートフォンからグラフで確認できるのは、とても便利です。
 もっと低温でやってみたいと思います。今回は、スペアリブの骨のために、ポリ袋に空気が入った状態での調理になってしまいましたが、いっそのこと、塩などをすり込んだ豚肉をポリ袋なしでやってみたらどうなるでしょう。

追記

 後日、63℃設定で、今度は骨がない豚のブロック肉(肩ロース)を使用して、同様の方法で低温調理をしてみました。右の写真は、冷蔵庫で冷やしたものを薄切りにした状態です。実は、温度コントロール用のth5を、ポット内の上の方に設置しすぎて、ヒーターからの放射熱を直接受ける状態でした。そのため、豚肉の温度としては60℃くらいで、これが許される最低温度と思います。
 食べた感じとしては、すごく柔らかいです。味・外観などを含めて、66℃のときより、料理としてかなり上でした。

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