LABORATORY熱の実験室

 ● ヒーターで凍結防止(下から)

 前ページの[グラフ-2]の実験結果から、約50Wで凍結が防止できると推測しました。まず、お湯を沸かすときのように、バケツの一番下に50Wのヒーターを設置して加熱しました。
 なお、恒温槽の温度は-10℃に設定しているのですが、ヒーターの発熱のため、温度は下がりきっていません。

[グラフ-5]
 一番下のNo.4は、温度がどんどん下がり、2.5℃程度で安定しました。No.2~No.3の温度は、No.1より少し低い程度ですが、70分経過した頃からNo.3が急に下がっています。No.4と同じ温度まで下がって安定するものと思われます。

 ● ヒーターで凍結防止(上から)

 次に、50Wのヒーターを水面近くの一番上に設置して加熱しました。

[グラフ-6]
 一番下のNo.4は、約3℃までどんどん下がった後に安定しています。その後、No.3、No.2も次々に下がり、2.5~3℃程度で安定します。これは、約3℃の水の層が、底からだんだん厚くなっていき、水面に近い部分以外の全体が一定の温度で安定している状態といえます。一番上のヒーターの熱は、凍結しない最小限の温度を保つ分だけ、底まで伝わっていることになります。これは、前ページの[グラフ-4]の、約4℃で密度が最大になる性質のためです。この性質がなかったら、底にはヒーターの熱が伝わらず、温度が更に下がってしまうはずです。

 ● 凍結防止の加熱方法

 今回の実験の結果から、水の凍結を防止するためには、お湯を沸かすように底の方から加熱する必要はなくて、上から加熱すると、底まで熱が伝わることがわかりました。深い水槽でも、長いヒーターを用意する必要はないことがわかります。
 底から加熱しても凍結は防止できるのですが、必要最小限の熱だけを底まで伝える、上から加熱する方法の方が、余分な水まで温めることがなくて、合理的だと思います。
長いヒーターで大変

これで十分