LABORATORY熱の実験室

 ● 熱源の温度と加熱特性

 熱源から放出される電磁波(可視光線や赤外線)の波長は、その温度により異なります(詳しいことは、第11回の実験を見てください)。そのピーク波長λ[μm]は、温度T[K] が高いほど短くなり、Wien(ウィーン)の変位則という、次の式に従います。
λ = 2897.8 / T [μm]
 使用した熱源(日光とヒーター)のピーク波長をこの式で計算すると、次のようになります。
熱源 日光 ハイレックス シリコンラバーヒーター
熱源温度 [℃] 5507 680 340 200 120 85 60
熱源温度 [K] 5780 953 613 473 393 358 333
ピーク波長 [μm] 0.50 3.04 4.73 6.13 7.37 8.09 8.70
 このピーク波長と、黒艶消し塗料の温度上昇を1としたときの各物質の温度上昇が、次のグラフです。
 白い物質は、日光のように短い波長はアルミ並みに吸収しにくく、長い波長の赤外線は、黒艶消し塗料並みに吸収しやすいことがわかります。その中で放熱シートは、長い波長で一番加熱されやすいことが確認できますが、省エネ塗料は、飛び出た特性が確認できませんでした。

 ● まとめ

 今回の実験による性能検証結果は、次のようになりました。もちろん、これが性能のすべてを現すものではありません。他の試験では、また違った結果も出ると思います。
▼ 省エネ塗料  : △
▼ 放熱シート : ○
▼ 省エネ塗料
 白い物質としての、平凡な特性しか確認できませんでした。カタログに記載されたように99.61%の熱を反射することができれば、夏も温度上昇がわずかで、すばらしい性能なのですが。

▼ 放熱シート
 白い物質の中で、長い波長の赤外線に最も加熱されやすく、効果が確認できました。ただし、放射率は1.0以上にならないので、限界まで性能を高めても、ずば抜けた放熱が期待できることはありません。